セッション情報 シンポジウム2(肝臓学会・消化器病学会合同)

C型肝炎個別化医療のための宿主因子・ウイルス因子

タイトル 肝S2-15追5:

C型慢性肝炎患者におけるIL-28B遺伝子多型別のPEG-IFN・リバビリン療法の効果と末梢血単球膜上1型インターフェロンレセプター2発現の関係

演者 篠原 美絵(東邦大医療センター大森病院・消化器内科)
共同演者 石井 耕司(東邦大医療センター大森病院・消化器内科), 住野 泰清(東邦大医療センター大森病院・消化器内科)
抄録 背景および目的:C型慢性肝炎(CHC)の標準治療であるPEG-IFN・リバビリン(P+R)併用療法の治療効果にIL-28Bの遺伝子多型(SNPs)が関与することが明らかになっている。我々は以前からCHC患者の末梢血中単球膜(Mo)上の1型IFNレセプター2(IFNAR-2)の発現を検討してきた。今回、Genotype1bかつ血清ウイルス量高値のCHCに対してP+R併用療法を行い効果が判明している症例のIL-28BのSNPsと末梢血Mo上IFNAR-2発現の関連を明らかにする。対象:P+R療法48週間(中央値)が終了し、遡及的にIL-28B(rs8099917)のSNPsを測定した83人(中央値56才)。SNPsの内訳はgenotype(g-)TTが56人、g-TGが27人(g-GGが0人)。方法:治療開始後12週間までに血清HCV-RNAが2Log dropまたは陰性化したものをEVRとした。また、治療終了24週後に血清HCV-RNAが陰性の場合をSVRとした。治療開始前、開始3、7、14、28日後に採血し末梢血Mo上のIFNAR-2陽性細胞の平均蛍光強度を測定した。結果:EVRはg-TTでは56例中55例(98%)、g-TGでは27例中13例(48%)に、SVRはg-TTでは56例中37例(59%)、g-TGでは27例中5例(19%)に得られた。g-TTのEVRとSVRの比率はg-TGの比率に比べて有意に高値であった。g-TTでは、SVRとnon-SVR症例の末梢血Mo上IFNAR-2発現強度には全く差がなかった。しかし、g-TGでは、治療開始後の末梢血Mo上IFNAR-2発現はEVRではnon-EVRに比べて、SVRではnon-SVRに比べて常に高値で、EVRでは治療開始3日、14日後、SVRでは治療開始7日、14日後には統計学的有意差が得られた。結論:IL-28B遺伝子は3型IFNに属するIFN-λsの中の一つである。g-TTの場合は治療効果とIFNAR-2発現には関連がなかったことから、治療効果には主にIFN-λ系が関与し、g-TGのうち治療効果があった症例ではIFNAR-2の発現が増強していたことからIFN-λ系に障害があり、治療開始早期に代償的にIFN-α系の増強があるとEVR、ひいてはSVRが得られると考えられた。
索引用語 IFNAR-2, IL-28