セッション情報 |
シンポジウム3(肝臓学会・消化器病学会合同)
B型肝炎 抗ウイルス療法の進歩と耐性
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タイトル |
肝S3-1:HBV RT領域変異株におけるテノフォビルの抗ウイルス効果の検討
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演者 |
柘植 雅貴(広島大・消化器・代謝内科) |
共同演者 |
平賀 伸彦(広島大・消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科) |
抄録 |
【目的】B型慢性肝疾患に対する核酸アナログ治療は不可欠な治療法となっているが、HBVの完全な排除に至るケースは稀であり、長期投与が不可欠とされている。このため、長期投与に伴う耐性株出現は重大な問題となっている。そこで、in vitro、in vivoにて各種薬剤耐性株に対するテノフォビル(TDF)の抗ウイルス効果について検討を行った。【方法】患者血清からHBV発現プラスミドをクローニングした後、各薬剤耐性変異を導入し、耐性株発現プラスミドを作製。これらのプラスミドをtransfectionしたHepG2細胞に、各種核酸アナログを添加し、細胞内HBV複製中間体量の変化をreal time PCR法にて検討した。さらに、HepG2細胞より産生された薬剤耐性HBVをヒト肝細胞キメラマウスに感染させ、薬剤投与によるマウス血中のウイルス量変化について検討を行った。【成績】野生株におけるTDFの効果であるが、in vitroでの検討では、良好な抗ウイルス効果が確認され、in vivoでも1週間で2.3Log copies/ml程度の低下が確認された。次に、LMV耐性株であるrtL180M/M204V株について検討を行うと、in vitroの検討にて野生株とほぼ同等の抗ウイルス効果が認められた。近年、多剤耐性株の出現が問題となっていることから、LMV、ADV二重耐性株であるrtA181T/N236T株についても同様の検討を行った。in vitroでの検討では、TDFの効果は野生株とほぼ同等であり、in vivoでも2週間で3.0Log copies/ml程度の低下が確認された。【考案】in vitro、in vivoのHBV複製・感染系での検討の結果、野生株、rtL180M/M204V株、rtA181T/N236T株いずれにおいても、TDFは良好な抗ウイルス効果を示す可能性が示され、臨床的にも多剤耐性株に対し、有効であると考えられた。但し、rtN236T変異は、TDFの感受性がやや低下すること、臨床的に抗ウイルス効果が十分とは言えない症例があることが報告されており、今後更なる治療法の工夫が必要と考えられる。 |
索引用語 |
HBV, テノフォビル |