セッション情報 シンポジウム3(肝臓学会・消化器病学会合同)

B型肝炎 抗ウイルス療法の進歩と耐性

タイトル 肝S3-2:

核酸アナログ耐性変異パターン解析とその対策~テノホビルの使用経験

演者 新海 登(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
共同演者 田中 靖人(名古屋市立大大学院・病態医科学), 溝上 雅史(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター)
抄録 【背景】B型肝炎に対して核酸アナログが多用されるようになり、多剤耐性株の出現が報告されている。【対象】我々は当院で2001年1月から2010年12月までに核酸アナログを投与したB型慢性肝炎・肝硬変患者を対象(ラミブジン(LVD)初回投与84例、エンテカビル(ETV)初回投与118例)とした。【結果】LVD平均投与期間31±23ヶ月であった。1) LVD耐性33例中27例にアデホビル(ADV)併用。I.ラミブジン耐性を認めた27例中3例はLVD+ADVの投与中にYMDD変異は消失したが、ADV耐性または不応であったので、ETV+ADVに変更したところ、1年の経過でHBV DNAは全例低下傾向。II.LVDからETVに変更した23例のうち3例でETV耐性出現(rtL180M, rtM204V変異に加えてrtT184T/IまたはrtS202G変異)。3例ともLVD+ADVに変更し1年でHBV DNAは徐々に減少。III.初回LVD投与後, ETV, LVD+ADVを使用し、多剤耐性(rtL80V/I,rtL180M, rtA181T, rtT184I/L,rtM204V/I)となった1例はLVD+テノホビル(TDF)の併用療法にてHBV DNAはリアルタイムPCRにて感度以下になった。治療前後の耐性変異パターンについて次世代シークエンサー(NGS)で解析中。2)ETV初回投与118例中1例で、3年投与時点でETV耐性株が出現(rtL180M,rtM204V,rtM250L)し、VBT、BTHを発症。ETV+ADVに変更し4ヶ月でHBD DNA 2.6 log copies/ml低下。もう1例はETV耐性株の出現はみないもののYVDD変異を確認したためETV+ADVに変更し1ヶ月でHBV DNA は感度未満となった。【考察】耐性株出現後、治療反応性の悪いときは耐性パターンが変化している可能性があり、適宜変異を確認した上で、ETV+ADVやTDFを適切に使用することによりHBVの制御が可能であった。経時的な耐性クローンの変化はNGSで解析中。
索引用語 B型慢性肝炎, 薬剤耐性