セッション情報 シンポジウム3(肝臓学会・消化器病学会合同)

B型肝炎 抗ウイルス療法の進歩と耐性

タイトル 消S3-3追1:

B型慢性肝炎に対する核酸アナログ長期投与~耐性ウイルスとAdherenceから見た検討~

演者 亀崎 秀宏(千葉大大学院・腫瘍内科学)
共同演者 神田 達郎(千葉大大学院・腫瘍内科学), 横須賀 收(千葉大大学院・腫瘍内科学)
抄録 【目的】B型慢性肝炎に対する核酸アナログ製剤初回投与例における治療効果及び, ウイルス再上昇例における耐性ウイルス出現状況を検討すると共に薬剤に対するAdherenceを検討した.【方法】B型慢性肝炎に対する核酸アナログ製剤初回投与例167例[エンテカビル(E) 81例, ラミブジン(L) 86例]を対象とした. 治療効果は各製剤におけるHBV DNA陰性化やALT値正常化を検討した. ウイルス再上昇は, HBV DNA最低値より1 log copy/ml以上上昇した場合と定義した. 耐性ウイルスの検出は直接塩基配列決定により行った.【成績】1)患者背景では年齢(E群; L群, 49.7±12.2; 46.0±11.9, P=0.048), AST(108.4±113.0; 266.5±323.8, P<0.001), ALT(169.6±186.2; 380.8±416.7, P<0.001)及びAPRI(<0.5/0.5-1.5/>1.5: 14/35/32; 8/15/52, P<0.001)において有意差が認められた. 観察期間(月)はL群で長期間であった(29.1±20.1; 45.2±35.6, P<0.001). 2)治療効果の検討ではHBV DNA陰性化例は1年後E群93.0%; L群66.7%(P<0.001), 2年後88.4%; 54.5%(P<0.001), 3年後84.0%; 47.6%(P=0.002), 5年後L群41.4%, 7年後L群33.3%であった. ウイルス再上昇はE群4例; L群43例に認められ, そのうち耐性ウイルスはE群2例; L群40例に確認された. 耐性ウイルス出現例では, ウイルス再上昇の時期は大半で5年以内であり, 5年以降はL群の4例のみであった. 耐性ウイルス非出現にも関わらずウイルスが再上昇した症例(E群2例; L群3例)ではいずれも服薬Adherenceの不良が確認され, そのうちE群1例; L群2例のウイルス再上昇は1年以内と早期に認められた.【結論】Eの治療効果は高く, 耐性ウイルス出現率も低かった. Lに関しては長期間単独投与継続できた症例でも耐性ウイルス出現の頻度は低いが存在することから, Eへの切り替えが妥当と考えられた. また, 服薬Adherenceは当然治療効果に影響し, 治療開始1年以内の服薬指導が重要であると考えられた.
索引用語 核酸アナログ, Adherence