セッション情報 シンポジウム11(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

肝疾患に対する先端医療

タイトル 肝S11-2:

次世代シークエンサーを用いて慢性B型肝炎患者血清内の特異的なmiRNAのプロファイリングを行い、新規miRNAの候補を見いだした

演者 二宮 匡史(東北大病院・消化器内科)
共同演者 近藤 泰輝(東北大病院・消化器内科), 下瀬川 徹(東北大病院・消化器内科)
抄録 【目的】我々は慢性B型肝炎(CH-B)患者の血清中のmiRNAの発現をIllumina Genome Analyzer IIxで解析した。【方法】CH-B10例、対照として慢性C型肝炎(CH-C)10例、原発性胆汁性肝硬変(PBC)10例、健常者5例で検討。TruSeq Small RNA Smaple Preparationを用いてLibraryを作成。35塩基single end、3検体/1レーンでGenome Analyzer IIxにて解析。【解析】シークエンスリードからCutadaptでアダプター配列を除去後、1)bwaを用いて1ミスマッチまで許容し、miRBaseの登録 miRNAとヒトゲノムhg19へマッピング。個々のmiRNAについてヒットしたリード数を集計、サンプル毎の総マップリード数で正規化し、発現量を計算。4群で発現量に差のあったmiRNAをANOVA(p<0.05)で抽出。クラスタリングを行い、ヒートマップを作成。2)miRDeep2を用いて新規miRNA探索。hg19にマッピングとRNA二次構造解析を行い、新規miRNA候補を抽出。複数のサンプルで検出されたものを新規miRNA候補とした。【成績】1検体あたり平均1200万リード、miRBaseへのマッピング率は平均18.72%、hg19は83.73%になった。1)1496個のmiRNAのうちP-Valueが計算できたのは、721個。110個のmiRNAが発現量に有意差がついた。発現量の平均=0、分散=1となるように標準化し、発現パターンをクラスタリングしてヒートマップを作成。CH-B群はCH-C、PBC、健常者群と明確にクラスターを異にした。2)miRDeep2での新規miRNA予測では第7染色体に存在する領域がCH-B血清内に特異的に発現している新規miRNAの候補として抽出された。【考案】血清内のmiRNAの発現量は疾患特異的に特徴あることが示された。有意差がついた中から、さらに特徴的なmiRNAを抽出し、新規疾患特異的な候補miRNAを見いだしたことで、予後や発癌予測マーカーになりうる可能性があり、miRNAの発現のメカニズムを検討することで、病態の解明や創薬の可能性が示された。
索引用語 miRNA, 次世代シークエンサー