セッション情報 | シンポジウム3(肝臓学会・消化器病学会合同)B型肝炎 抗ウイルス療法の進歩と耐性 |
---|---|
タイトル | 肝S3-4追2:ラミブジン耐性B型慢性肝疾患に対するアデホビル併用療法の長期成績と問題点 |
演者 | 三田 英治(国立大阪医療センター・消化器科) |
共同演者 | 外山 隆(国立大阪医療センター・消化器科), 葛下 典由(国立大阪医療センター・消化器科) |
抄録 | 【目的】B型肝炎に対する核酸アナログ治療では,長期投与例が増えるにしたがい,耐性化が報告されるようになった.今回,当科におけるラミブジン・アデホビル併用療法の長期成績をまとめ,その問題点を検証した. 【方法】ラミブジン耐性のB型慢性肝疾患に対し,アデホビルを追加併用し,24ヶ月以上経過観察が可能であった40例が対象である.アデホビル併用前の背景因子と治療効果について検証した. 【成績】(1) 40例中,HBe抗原陽性例が29例,HBe抗原陰性例が11例であった.HBe抗原陽性例および陰性例で男女比,慢性肝炎/肝硬変比に差を認めなかった.平均年齢はHBe抗原陽性例が42.4歳,陰性例が52.1歳,アデホビル併用前のALT値はHBe抗原陽性例が150.6±141.9 IU/L,HBe抗原陰性例が122.5±94.7 IU/Lであった.(2) HBe抗原陽性29例の併用前のHBV-DNAの中央値は7.5 log copies/mL(4.9-7.6超)で,10例(34.5%)が3ヶ月後に,20例(69.0%)が24ヶ月後にHBV-DNAが4 log copies/mL未満に低下した.また,6例でHBe抗原が陰性化し,うち4例はHBe抗体の陽性化,すなわちHBe-seroconversionを認めた.一方,HBe抗原陰性11例のHBV-DNAの中央値は6.3 log copies/mLで,7例(63.6%)が3ヶ月後に,9例(81.8%)が24ヶ月後にHBV-DNAが4 log copies/mL未満に低下した.アデホビル併用療法ではHBe抗原陰性例が陽性例に比し併用前のHBV-DNAが有意に低値で(p<0.01),HBV-DNA低下の観点からみた治療効果が良好であった.(3) アデホビル併用前のHBe抗原が陽性の症例から併用31ヶ月を境に両剤耐性化した1例を経験した.(4) ラミブジン・アデホビル併用後24ヶ月経過してもHBV-DNAが4 log copies/mL未満に低下しない3例に対し,アデホビルをテノホビルに切り替えたところ,1 log copies/mL以上の低下を認めた. 【結論】ラミブジン耐性化例に対するアデホビル併用療法ではHBe抗原陽性例の反応が不良で,今後アデホビルをテノホビルに切り替えるなどの対応策が必要と考えられた. |
索引用語 | アデホビル, テノホビル |