セッション情報 |
シンポジウム3(肝臓学会・消化器病学会合同)
B型肝炎 抗ウイルス療法の進歩と耐性
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タイトル |
肝S3-8:B型慢性肝炎に対する核酸アナログ製剤の問題点とsalvage治療としてのテノフォビルの有用性
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演者 |
保坂 哲也(虎の門病院・肝臓センター) |
共同演者 |
鈴木 文孝(虎の門病院・肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓センター) |
抄録 |
(目的)核酸アナログ治療(ETV,LAM+ADV)の有効性と薬剤耐性の頻度と対策を示し、現在の核酸アナログ療法の問題点を検討する。またADV耐性、ETV耐性に対するTDFの治療効果も検討する。(方法)(ETV治療)核酸アナログ未治療B型慢性肝疾患症例515例およびLAMからの切り替え症例229例。(ADV治療)LAM耐性B型慢性肝疾患症例に対してADVを併用投与した367例を対象とした。(結果)(ETV治療)核酸アナログ未治療例の開始後1年のHBV-DNA量が2.6logcopy/ml以上の「反応不良例」は33例(6%)あり、このうち2例でETV耐性変異が出現し、breakthrough hepatitisを来たした。一方でLAMからの切り替え症例からは16例のETV耐性変異出現例を認め、内15例ではETV切り替え時のHBV-DNA量が5.0logcopies/ml以上であった。またETV切り替え時HBV-DNA陰性(<2.6log)の症例からはETV耐性を認めなかった。(ADV治療)LAM+ADV併用投与例において開始後1年のHBV-DNA量が4.0logcopy/ml以上の「反応不良例」は76例(21%)で認め、ADV耐性例はADV併用開始前に8例、ADV開始後に10例認めた。これらADV耐性18例の内9例は「反応不良例」に該当した。(TDF治療)上記に薬剤耐性症例の内、ADV耐性2例、ETV耐性2例計4例に対してTDF治療を行った。ADV耐性2症例では開始時HBVDNA量は5.5、4.9logであり、10ヶ月後、2ヶ月後にそれぞれ陰性化した。一方でETV耐性2症例では開始時HBVDNA量は>7.6、3.9logであり、16ヶ月後、4ヶ月後に陰性化した。ALTも全例で正常化に到った。(結語)現在標準的治療であるETV療法およびLAM耐性症例に対するADV併用療法の抗ウイルス効果は概ね良好であるが、一部に反応不良例が存在し、この反応不良例の中にETV耐性、ADV耐性例を認めた。ETV耐性、ADV耐性に対するTDF治療の効果は良好であった。 |
索引用語 |
テノフォビル, 薬剤耐性 |