セッション情報 |
シンポジウム3(肝臓学会・消化器病学会合同)
B型肝炎 抗ウイルス療法の進歩と耐性
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タイトル |
肝S3-10:HBs抗原量からみたB型慢性肝疾患に対する抗ウィルス療法
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演者 |
長岡 進矢(国立長崎医療センター・臨床研究センター) |
共同演者 |
八橋 弘(国立長崎医療センター・臨床研究センター), 石橋 大海(国立長崎医療センター・臨床研究センター) |
抄録 |
【目的】HBs抗原定量値は、核酸アナログの中止基準、ペグインターフェロンの治療効果予測、HBs抗原消失までの指標として、最近、その有用性が報告されている。HBs抗原量の推移から各種B型慢性肝疾患に対する各種抗ウィルス療法を比較検討した。【方法】対象は、5年以上LAM投与した91例(LAM群、中央値年齢:47歳)、3年以上ETVを投与した77例(ETV群:54歳)、6カ月以上IFNを投与した32例(IFN群:36歳)である。治療前、1年、3年、5年(LAM群のみ)時点のHBs抗原量をCLIA法にて定量した。【結果】HBe抗原の有無別のHBs抗原量(中央値)は、HBe抗原陽性群2972 IU/ml、陰性群1244 IU/mlで、後者で有意に低値(p<0.01)であった。各治療群での推移は、LAM群は(治療前2580、1年1489、3年1256、5年646 IU/ml)、ETV群(治療前:2237、1年1356、3年1172 IU/ml)で両群とも治療後は有意に低下したが、IFN群(治療前2813、1年2426、3年2297 IU/ml)では、有意差な変化はみられなかった。【結論】HBs抗原量は、年齢、HBe抗原の有無で規定されることが確認されおり、今回のIFN治療例のHBs抗原量の推移は、若年、HBe抗原陽性、治療期間が短いことが反映していると考えられる。自験例のHBs抗原消失確認例での5年前、3年前、1年前のHBs抗原量(中央値)は、それぞれ115、4.24、0.69 IU/mlである。今後のB型慢性肝疾患に対する抗ウィルス療法は、HBs抗原量を指標として、より早期のHBs抗原消失を目指した治療戦略を立てるべきである。 |
索引用語 |
B型肝炎, HBs抗原定量 |