セッション情報 | シンポジウム3(肝臓学会・消化器病学会合同)B型肝炎 抗ウイルス療法の進歩と耐性 |
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タイトル | 肝S3-13:HBe抗原陽性HIV感染者に対するHAARTの抗HBV効果について |
演者 | 田沼 順子(国立国際医療研究センター・エイズ治療・研究開発センター) |
共同演者 | 正木 尚彦(国立国際医療研究センター・消化器科) |
抄録 | 【背景・方法】HIV/HBV混合感染例には、テノフォビル(TDF)とエムトリシタビン(FTC)またはエピビル(3TC)を含むHAARTが推奨されている。このたび当院でHAARTを実施したHBe抗原陽性例につき、その抗HBV効果について後方視的に検討した。 【結果】1996年より2010年までの14年間に当施設を受診しHBs抗原検査が行われた2803名中、227名がHBs抗原陽性(陽性率8.1%)であった。その他通院中の22例にHBs抗原陽転化をみた。計249例中200例にHBe抗原が調べられ142例(71%)がHBe抗原陽性であった。このうち、6ヶ月以上HBe抗原陽性を確認して慢性HBV感染と判定され、かつHAARTを実施したのは101例であった。治療前の平均年齢34.3歳、平均CD4数 212 /mm3、ALT正常上限2倍以上12.7%、であった。TDF/FTC(3TC)を含むレジメンが36例(以下A群)で、3TCのみを含む例が44例(以下B群)、TDFも3TCも含まない例が21例(以下C群)あった。平均観察期間はA群:123週、B群:304週、C群:133週で、その他各群の背景因子に差は認められなかった。2010年6月末日現在、A群では6/36例(16.7%)、B群では5/44例(11.3%)がHBs抗原のseroconversion(以下HBsSC)を達成していたが(A/B群間のHBsSC頻度に有意差なし)、C群では1例もHBsSCに達していなかった。また、A群では、ほぼ全例で治療開始後HBV-DNA量の低下が得られているのに対し、B群では、治療後のDNAおよびYMDD変異の有無を検査した34例中22例(64%)に、耐性変異の獲得がみられ、HBV-DNAの抑制に失敗していることが明らかとなった。更にサルベージ症例を加えて検討・報告する予定である。 |
索引用語 | HIV, テノフォビル |