セッション情報 |
シンポジウム4(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
進行肝癌に対する治療戦略
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タイトル |
外S4-7:進行肝癌におけるsorafenibの補助療法への応用
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演者 |
波多野 悦朗(京都大・肝胆膵・移植外科) |
共同演者 |
石井 隆道(京都大・肝胆膵・移植外科), 上本 伸二(京都大・肝胆膵・移植外科) |
抄録 |
【目的】進行肝癌 (HCC) の治療成績の改善には治療後補助療法の確立が必要である。sorafenibの最大限の治療効果をあげるためには、再発超危険群に治療後最適のタイミングでsorafenibを導入する必要がある。一方、肝癌治療効果判定基準では治療後3ヶ月の標的結節治療効果度 (TE) を評価し治療効果の総合評価としている。しかし,sorafenib早期導入による治療効果を期待するためには,TACE不応例をできるだけ早期に診断する必要がある。また、肝外再発は一般的に根治不可と考えられるため、肝外再発超危険群を同定する必要がある。【方法】A. 2009年6月から12月までのTACE施行59例,139結節を対象にTACE1週後のlipiodolの集積と3ヶ月後のTEとの関連を検討。B. 2001年2月から2010年10月までのHCC初回切除544例のうち、単発で大血管浸潤のない(vp1以下でvv1以下)293例を対象に腫瘍径を2cm以下,2~7cm,7cm以上の3群に分けて予後と再発様式を検討。【結果】A. TACE1週後TE2 (腫瘍壊死効果50%未満)と評価された61結節は,3ヶ月後TE1 (25%以上増大): 30結節,TE2: 29結節,TE3: 2結節で、総合評価は,TACE1週後TE2を含む32例中,PD27例,SD5例で,奏効例は認めなかった。B. 無再発および累積生存期間中央値は2cm以下群で40.1/68.1M,2~7cm群で22.1/76.9M,7cm以上群で15.0/51.3Mで、肝再発は全ての群で40%前後と同様であったが、肺転移は2cm以下,2~7cm,7cm以上群でそれぞれ9.3%,10.0%,24.0%であった。【結論】TACE1週後lipiodolの集積が不良な場合,3ヵ月後のTEや総合評価は明らかに不良である。TACE1週後TEは,TACE不応早期診断に有用である。また、腫瘍径7cm以上のHCCは、単発で脈管浸潤がなくても肺転移を高率に認めることより、肝切後再発超危険群としてsorafenibによる術後補助療法を考慮すべきである。 |
索引用語 |
分子標的薬, 肝細胞癌 |