セッション情報 シンポジウム4(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

進行肝癌に対する治療戦略

タイトル 肝S4-9:

肝外転移合併肝細胞癌に対するソラフェニブと全身/動注化学療法の成績からみた治療戦略

演者 相方 浩(広島大大学院・分子病態制御内科学)
共同演者 河岡 友和(広島大大学院・分子病態制御内科学), 茶山 一彰(広島大大学院・分子病態制御内科学)
抄録 【目的】肝外転移合併肝細胞癌(肝癌)に対するソラフェニブと,全身/動注化学療法を主体とした集学的治療の成績を解析し,肝外転移合併肝癌の治療戦略を考察する.【対象と方法】対象は,2000年~2010年12月までの肝外転移合併肝癌,ChildA199症例.そのうち,1)ソラフェニブ投与36例.肝内腫瘍因子T1/2/3/4: 3/3/13/17.主腫瘍径48mm,単発/多発7/29例,脈管侵襲有り/無し18/18例.肺/骨/副腎/胸膜/リンパ節17/8/2/1/11 (重複有り).奏功率, TTP, OSについて解析した.2) 経過中のソラフェニブ投与例を除く全身/肝動注化学療法を行った157例(化学療法群).肺/骨/副腎/リンパ節/その他:80/40/42/15/18 (重複有り).肝内Stage T0/1/2/3/4: 13/10/24/35/75.治療法は,S1 based sys chemo51例(S1/IFN, n=29; S1/CDDP, n=22),HAIC63例(IFN/5FU, n=35; low dose FP, n=28),TACE43例.【結果】1) ソラフェニブ群における奏功率はRECIST 0%,mRECIST 8.3%,TTP4.2ヶ月,MST 5.2ヶ月(観察期間中央値3.6ヶ月).肝内T因子別には(6/12ヶ月生存率,MST),T1/2(100/100%)は,T3/4(38/9%,4.2ヶ月)に比べ,有意に良好であった(p=0.002).2) 化学療法群での12/24ヶ月生存率は,66/44% (MST19ヶ月,観察期間中央値8ヶ月).肝内T因子別のMSTは,T0/1/T2/T3/T4:30/31/17/8ヶ月であり,層別化された.生存に寄与する因子として,肝内 T因子0/1 (HR2.1, p=0.031),骨転移無し(HR2.4, p=0.006)が抽出された.3) S1 based sys chemo症例のMST 30ヶ月,予後因子として,奏功有り(HR6.2, p=0.007),腫瘍数単発(HR3.1, p=0.015)が抽出された.一方,HAIC症例ではMST 14ヶ月,予後因子として,奏功あり(HR2.526, p=0.010)が抽出された.【結語】肝外転移合併肝癌の予後は,ソラフェニブ, 化学療法ともに肝内腫瘍進行度により層別化される.特に,肝内制御例での全身/動注化学療法を主体とした化学療法奏功例は,予後の改善が期待され,ソラフェニブ治療前の1st lineとなる可能性がある.
索引用語 肝細胞癌, 転移