セッション情報 |
シンポジウム11(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
肝疾患に対する先端医療
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タイトル |
肝S11-5:Deep sequenceを用いたPEG-IFN/RBV療法におけるHCVの動態解析
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演者 |
前川 伸哉(山梨大・肝疾患地域先端医療システム学) |
共同演者 |
三浦 美香(山梨大・1内科), 榎本 信幸(山梨大・1内科) |
抄録 |
【目的】C型慢性肝炎の抗ウイルス療法開始後のウイルスダイナミクスにおいてHCV quasispeciesの有する意義は十分に明らかではない。近年、HCVそのものをターゲットとした薬剤が開発されつつあるが、薬剤耐性獲得においてもquasispeciesダイナミクスの理解は必須である。本研究ではPEG-IFN/RBV併用療法において、quasispeciesが治療反応性にどのように関与するのかdeep sequenceにより解析を試みた。【方法】PEG-IFN/RBV併用療法を導入したGenotype-1b高ウイルス量症例24例を対象とし、Core、NS5A-ISDR、NS5A-IRRDRの3領域における治療前と開始後48時間のウイルスquasispecies変化をdeep sequenceを行うことにより検討した。【成績】Deep sequenceによって症例毎に1500から3000のHCVクローンが各領域で得られた。Core 70においてはドミナント配列が野生型(R)あるいは変異型(Q/H)に拘わらず全症例で野生型の混在を認めた。一方、治療前後48時間ではCore 70のドミナント配列の変化は認められなかった。NS5A領域においてはISDR、IRRDRともに全症例で複数のアミノ酸変異体の混在状態を形成していたが、治療に伴いISDR(p<0.05)、IRRDR(p<0.01)共に少ない混在状態に収束した。ISDRにおいて4個以上変異を認めるmutant HCVが0-1個変異と混在する症例を5例に認めたが、48時間後に変異数の少ないHCVにシフトし、5例中3例で2.5%から50%に認められていたmutant HCVが消失、変異0あるいは1に収束した。IRRDRにおいても治療後アミノ酸変異体の混在状態の有意な減少を認めたものの、特定のアミノ酸変異体をもつHCVに収束する傾向を認めなかった。【考案及び結語】Deep sequence 解析にて、PEG-IFN/RBV治療によりHCV quasispeciesには顕著な変化が認められることが明らかになった。一方でCore、NS5A-ISDR、IRRDRの領域毎にquasispeciesダイナミクスは異なり、初期治療反応性に対するこれら領域の独立した関与が考えられた。 |
索引用語 |
HCV, 次世代シークエンス |