セッション情報 シンポジウム5(肝臓学会・消化器病学会合同)

NASH発症の分子機構と治療標的

タイトル 消S5-12:

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデルマウスの病態進行に対する水素水の効果の検討

演者 河合 大介(岡山大・消化器・肝臓内科学)
共同演者 高木 章乃夫(岡山大・消化器・肝臓内科学), 山本 和秀(岡山大・消化器・肝臓内科学)
抄録 NASHの成因として、酸化ストレスによる肝ミトコンドリア異常が関与していると考えられている。水素分子が抗酸化物質として肝毒性のある活性酸素の産生を抑制することが報告されており、水素水を用いて活性酸素によって引き起こされる病態を改善することが期待できる。今回我々はNASHモデルマウスを用いて水素水の有用性を検討した。【方法】NASHモデルとしてメチオニン・コリン欠乏食 (MCD食) マウスを使用した。8週齢のC57BL/6マウスを以下の3群に分けた:(1) MCD食+通常水 (NW群) (2) MCD食+水素水(HW群) (3) 0.01% ピオグリタゾン含有MCD食+通常水(PGZ群)。8週間後に肝臓を摘出し各群の炎症、線維化の程度を比較した。肝内の脂肪酸代謝関連遺伝子であるAOX、FAS、FAT、FATP、炎症関連遺伝子であるTNF-α、IL-6の発現をreal-time PCR法にて定量測定した。肝内の8-OHdG濃度、血漿dROMsテスト、Oxy吸着テストにて酸化ストレスを評価した。【結果】組織学的にHW群とPGZ群ではNW群と比較して炎症、線維化の程度が軽減していた。肝のAOX、FAS、FAT、FATP、TNF-α、IL-6の発現もHW群、PGZ群で抑制されていた。肝内8-OHdG濃度もHW群、PGZ群で低値であった。Oxidative index(dROMsテスト/ Oxy吸着テスト)はHW群で有意に低値であった。【結論】水素水は肝内の脂肪酸の取り込みを抑制し、酸化ストレスを抑制することによってNASHの進行を軽減する。
索引用語 NASH, 水素水