セッション情報 |
シンポジウム5(肝臓学会・消化器病学会合同)
NASH発症の分子機構と治療標的
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タイトル |
消S5-13:NAFLDの発症、進展に歯周病菌p.gingivalis感染が関与する
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演者 |
米田 正人(横浜市立大・消化器内科) |
共同演者 |
和田 孝一郎(大阪大大学院・歯学研究科), 中島 淳(横浜市立大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】歯周病は歯牙欠損の原因という局所的な問題のみならず、一過性の菌血症を引き起こし、全身にLipopolysaccarideやTNFなどの炎症性サイトカインを放出し全身疾患に関与する。歯周病は肥満、糖尿病、心筋梗塞に関与することが報告されているがNAFLDとの関連は不明である。【方法】肝生検を行ったNAFLD患者150症例,また正常対象群60人において唾液検体を用いて口腔内細菌の検出をPCR法により行った.歯周病菌と各種パラメータの比較検討を行った。【結果】歯周病5種類を測定し、中でも侵襲性歯周病菌、慢性歯周炎の原因菌であるP. gingivalisの有病率は対象群で21.7%であったがNAFLD群では46.7%と罹患率は高値であった(p=0.0009, OR=3.16, 95%CI=1.58-6.33).またNAFLDの中でもNASH群に限定すると罹患率はさらに高値であった(52%)。P.gingivalisには鞭毛の違いにより6種類のサブタイプが存在していることが知られているがNAFLDに感染していたP.gingivalisは94.3%が組織浸潤性の強いタイプであった(サブタイプII,IV,Ib)。NAFLDの発症に関与する因子を多変量解析したところP. gingivalisの感染は年齢、糖尿病の有無、BMIを調節しても独立して関与する因子であった。10症例のNAFLD患者に対しPilot studyで歯周病治療(口腔衛生指導、プラークコントロール、歯石除去、歯根清掃、歯周ポケット薬物療法)を3カ月施行する介入試験を行ったところトランスアミナーゼの有意な低下が得られた。【結論】やわらかい食物やショ糖の摂取増加により歯周病患者も増加している。本研究においても歯周病、特にP. gingivalis の感染はNAFLDの原因としてなりうる可能性が示唆された。またNAFLDの発症に、糖尿病、BMIと独立して寄与することも示唆され、歯周病治療は、糖尿病改善、体重減少とともにNAFLDの治療法に発展する可能性が示唆された。 |
索引用語 |
NAFLD, 歯周病 |