セッション情報 |
シンポジウム6(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
消化器がん検診における新しい診断法の実用性
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タイトル |
検S6-4:大津市におけるシミュレーションからABC検診を考える-滋賀県におけるこれからの胃がん検診についてのパネルディスカッションより-
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演者 |
中島 滋美(社会保険滋賀病院・健康管理センター) |
共同演者 |
山口 貴司(山口医院(滋賀)) |
抄録 |
【目的】2009年10月に滋賀県の専門家が大津消化器疾患研究会でパネルディスカッション「滋賀県におけるこれからの胃がん検診」を開催した。今回は、その時のシミュレーションにより、大津市における新しい検診導入の実現可能性を検討した。【方法】大津市の胃がん検診対象者数と胃がん検診精密検査登録医療機関(登録機関)数、および社会保険滋賀病院健診のH. pylori(Hp)感染率とペプシノゲン(PG)法陽性率から大津市における内視鏡検診単独、Hp検診、PG法、ABC検診(Hp+PG法)の検診対象者と内視鏡による要精密検査数をシミュレーションし、実現可能性を検討した。【結果】2010年度の大津市胃がん検診対象者数は108700人と推定され、登録機関71施設で均等に割り付けると1機関あたりの必要内視鏡検査数は年間1531人となる。1年200日稼動とすると各登録機関で毎日新たに7.7人の内視鏡検査追加になる。血清Hp抗体検査を導入した場合、抗体陽性者は65024人となり、陽性者に内視鏡検査を行うと1機関あたり毎日4.6人の追加内視鏡検査が必要になる。PG法を導入した場合、陽性者は44710人となり、1機関あたり毎日3.2人の内視鏡検査数の追加が必要になる。ABC検診を導入した場合、A群26712人、B群40042人、C群41294人、D群652人となり、各群の胃癌危険度に応じて検診間隔を延ばすと各機関で1日に追加する内視鏡検査数は2.8人となった。【考察】普段の臨床に加え毎日追加できる内視鏡検査数は登録機関で差がある。登録機関のほとんどが開業医であることから、上記のどれをとっても簡単に実現できる数字ではない。ただし検診受診率が100%でないことや、血液検査を5年毎に行うなどを考慮すると実現可能かもしれない。【結論】以上より、2009年の大津消化器疾患研究会では、「各市町村の実情に応じて試算し、Hp検診やPG法を一次検診として導入することを積極的に検討するべきである」とのコンセンサスを得た。 |
索引用語 |
ABC検診, 内視鏡検診 |