セッション情報 シンポジウム6(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器がん検診における新しい診断法の実用性

タイトル 消S6-5:

血清trefoil factor3とペプシノーゲン法の組合せは効率的な胃癌リスクバイオマーカーとなる

演者 貝瀬 満(虎の門病院・消化器内科)
共同演者 三輪 純(東芝病院・消化器内科), 森本 慎吾(野村病院)
抄録 【背景】ペプシノーゲン(PG)法やPG法とヘリコバクター抗体(Hp-Ab)を組み合わせた胃癌検診が行われているが、必ずしも満足できる診断感度ではない。【目的】より効率的な胃癌検診に応用できる胃癌リスクバイオマーカーを探索する。【方法】胃癌患者(診療目的の病院受診者)と非胃癌対照(人間ドック受診者)の血清trefoil factor(TFF)1,TFF2,TFF2,PGI,PGII, Hp-Abを測定し、胃癌診断精度を検討する。【結果】1)192例の胃癌(64.3±9.7才、早期癌:進行癌=152:40、分化型:未分化型:混在型=106:52:34)と非癌対照1254例(52.3±12.4才)が前向きに登録された。2)ROC曲線解析ではTFF3とPG法の組合せ(AUC=0.883)は、PG法単独(AUC=0.823)・TFF3単独(AUC=0.812)・PG法とHp-Abの組み合わせ(AUC=0.829)に比して胃癌診断精度が有意に向上した(P<0.001)。3)PG(+)(PGI/II<3 PGI<70)は胃癌診断感度67.2% [95%CI;64.7%-69.6%] 特異度81.7% [95%CI;79.6%-83.6%]であり、胃癌の約1/3を拾い上げることができなかった。PG(3+)( PGI/II<2 PGI<50)とTFF3高値( >7.5ng/ml)の組合せでは胃癌診断感度80.2% [95%CI;78.1%-82.2%]、特異度 80.1% [95%CI;77.9%-82.1%]であり、感度が有意に向上した。しかし、未分化型腺癌に限ると診断感度は67.3% [95%CI 60.1%-73.8%]であり、1/3の見逃しが発生する可能性がある。4)血清TFF3とPG法の組合せは、血清1mlあれば実施可能であり、多数例に安価で施行できる。【結語】TFF3は胃癌リスクを評価する新しいbiomarkerとなりうる。PGと組み合わせることで、胃癌高リスク群拾い上げがより効率的にできる可能性が示され、胃癌検診への応用が期待される。
索引用語 trefoil factor, 胃癌リスクマーカー