セッション情報 |
シンポジウム6(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
消化器がん検診における新しい診断法の実用性
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タイトル |
消S6-7:大腸がん検診における便RNA検査の可能性
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演者 |
古賀 宣勝(国立がん研究センター東病院・臨床開発センター・がん治療開発部) |
共同演者 |
安永 正浩(国立がん研究センター東病院・臨床開発センター・がん治療開発部), 松村 保広(国立がん研究センター東病院・臨床開発センター・がん治療開発部) |
抄録 |
【目的】分子生物学的手技の発展により、がん診断法も飛躍的に発展している。大腸がんに関しても遺伝子変異解析を用いた便DNA検査などが研究され、臨床応用され始めた。しかしDNA検査は手技が煩雑で高価であるため、我々は比較的簡便で安価な便RNA検査を検討している。本研究ではイムノビーズにより分離した細胞から抽出したRNA(便分離細胞RNA)や便から直接抽出したRNA(便RNA)を用いた遺伝子発現解析やmiRNA発現解析を行い、新しい大腸がん診断法の可能性を報告する。【方法】大腸がん患者および健常者の便分離細胞RNAと便RNAが対象。(1)便分離細胞RNAの遺伝子発現解析、(2)便分離細胞RNAのmiRNA発現解析(予備検討)、(3)便分離細胞RNAのmiRNA発現解析(本検討)、(4)便RNAの遺伝子発現解析およびmiRNA発現解析(予備検討)を行った。遺伝子発現およびmiRNA発現は、TaqMan probeを用いたreal-time RT-PCR法にて解析した。【成績】(1)便分離細胞RNAの遺伝子発現解析:COX2、MYBL2、MMP7、p53を標的遺伝子として感度58% (74/127)、特異度88% (89/101)。(2)便分離細胞RNAのmiRNA発現解析(予備検討):miR-17-92 cluster、miR-21、miR-135を標的miRNAとして感度74% (146/197)、特異度79% (94/119)。(3)便分離細胞RNAのmiRNA発現解析(本検討):miR-17、miR-18a、miR-20a、miR-92a、miR-135b、miR-146aを標的miRNAとして感度62% (205/329)、特異度82% (124/152)。(4)便RNAの遺伝子発現解析およびmiRNA発現解析(予備検討):COX2を標的遺伝子として感度32% (7/22)、特異度100% (44/44)および6種類のmiRNAを標的miRNAとして感度50% (11/22)、特異度100% (44/44)。【結論】便分離細胞RNAと便RNA共に大腸がん診断は可能である。今後、便潜血検査と便RNA検査の比較試験を計画している。 |
索引用語 |
がん検診, 便RNA |