セッション情報 シンポジウム6(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器がん検診における新しい診断法の実用性

タイトル 消S6-8:

便中各種マーカーを駆使した新たな大腸癌スクリーニングの可能性

演者 市川 裕一朗(藤田保健衛生大・消化管内科)
共同演者 吉岡 大介(藤田保健衛生大・消化管内科), 平田 一郎(藤田保健衛生大・消化管内科)
抄録 【目的】 便中Hb便潜血検査は腸内細菌による変性を受けやすく偽陰性化が問題である。トランスフェリン(Tf)は、Hbの経時的変性に比し便中で安定しておりTfの同時測定で、より精度の高い便潜血検査が期待出来る。また出血のみで大腸癌を検出するのには限界があるため便中炎症マーカーであるラクトフェリン(Lf)の検討も行った。糞便中Lfは大腸腫瘍性疾患で健常人に比し高値であると報告されている。【方法】 当大学病院にて大腸内視鏡検査を受けた患者で、同意を得て大腸内視鏡検査前に糞便を採取し便中各種マーカーを測定した149例。判定はHb濃度>100ng/mlをHb(+)、Tf濃度>50ng/mlをTf(+)、Lf濃度>50ng/mlをLf(+)とし、感度、特異度、正診率、陽性的中率を算出した。またTfとLfではcut off値を25ng/mlにした検討も行った。全149例中、内視鏡的に異常なしは37例、異常ありは112例だった(大腸癌20例、ポリープ41例、憩室15例、炎症性腸疾患19例、虚血性腸炎・非特異性大腸炎17例)。【成績】 大腸癌でHb陽性感度は80%、特異度84%、正診率83%、陽性的中率43%であった。Tf、Lf単独陽性との比較で差はなかった。Tf、Lfのcut off値を25ng/mlとした場合、Hb+Tfの組み合わせでHbとTfいずれも陽性の場合、Hb単独に比し特異度が有意に上昇し、正診率・陽性的中率も上昇した。Hb+Lfでは正診率、陽性的中率が上昇した。進行度別では早期・進行癌共にHb単独より、Hb+TfやHb+Lfにより特異度と正診率の上昇を認めた。部位別では特に違いは認められなかった。ポリープではHb+Lfで陽性的中率が上昇した。【結論】 HbとTf又はHbとLfの組み合わせ判定が従来のHb単独便潜血検査に比し大腸癌スクリーニング検査の精度向上に有用であると考えられた。
索引用語 便潜血, 大腸癌