セッション情報 シンポジウム6(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器がん検診における新しい診断法の実用性

タイトル 検S6-9:

大腸がん検診における新しい診断法 CTコロノグラフィーの実用性

演者 光島 徹(亀田メディカルセンター幕張・消化器科)
共同演者 藤原 正則(亀田メディカルセンター幕張・消化器科), 金 潤哲(亀田メディカルセンター幕張・消化器科)
抄録 【背景・目的】どんなにスクリーニング法が改良され進歩したとしても、最終段階である精検システムがうまく機能しなければ、我が国における大腸がん検診のこれ以上の発展は有り得ない。我が国における大腸がん検診の最大の隘路は、精検法である大腸内視鏡(CS)の処理能力不足と受診者の受容性の低さである。近年欧米を中心に普及しているCTコロノグラフィー (CTC)は、検査技術が容易かつ受診者の受容性が高いにかかわらず、CSと遜色ない診断精度を有すると報告されている。CTCを便潜血テストの後の第2段階のスクリーニング法として導入することによりCSの対象が集約され、精検の効率と受容性が向上し、我が国における大腸がん検診の受診率向上に繋がることが期待される。我々は、大腸がん検診におけるCTCの実用性を確認するために、CSと基準として診断精度と受診者の受容性を検討した。
【対象】2010年6月から12月までの、人間ドック便潜血・CTC・CSハイブリッド検診受診者男性382名、女性163、名、計545名を対象とした。
【方法】便潜血テスト(2回法)陽性もしくはCTCにて5mm以上の隆起性病変が疑われる場合、CTCに続いて同日にCSを実施した。また以前CSを受診した経験のある受診者に、CTCとCSの受容性に関するアンケート調査を行った。【結果】1.CTCとCSの診断一致率:CTCにて指摘された隆起性病変がCSで確認されたのは43病巣(一致率74.1%;43/58)であった。5mm以上の病巣に関しては、一致率92.6%(25/27)であった。確認されなかったのは15病巣(不一致率25.9%;15/58)、5mm以上に関しては不一致率7.4%(2/27)であった。2. CTCとCSの受容性:CTCが楽と答えたのは39.5%(129/327)、同等27.5%、CSの方が楽33.0%であった。次回希望の検査はCTC32.0%(105/328)、どちらでも可27.1%、CS 40.9%であった。
【考察・結語】CTCの精度は5mm以上の病巣に限れば、CSとほとんど遜色ない。また受診者の受容性はCSに優れ、対策型大腸がん検診における第2段階もしくは任意型大腸がん検診の、スクリーニング法として実用に足る。
索引用語 CTコロノグラフィー, 大腸がん検診