セッション情報 シンポジウム6(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器がん検診における新しい診断法の実用性

タイトル 消S6-12:

早期膵癌の診断向上率をめざした造影エコー検査の成績の検討

演者 高倉 玲奈(大阪府立成人病センター・検診部)
共同演者 田中 幸子(大阪府立成人病センター・検診部), 井岡 達也(大阪府立成人病センター・検診部)
抄録 <目的>超音波診断の精度が向上し、膵の小低エコー腫瘤やのう胞がUSで指摘され、検診施設から2次精査目的で紹介となる症例が増加している。2次精査施設で造影エコー検査にて、積極的に悪性を疑う所見でないことが確認できる症例が少なからずある。造影エコー検査の成績を検討し、検診施設での膵がん早期診断率を高くするための実用性について考察する。<方法>超音波検査は膵に焦点をあてて、半座位で検査を行い、膵尾部の描出改善のために検査途中で缶入りミルクティー350mlを飲用するなどマニュアルに沿った一定の描出法で検査を行う。主膵管拡張および膵のう胞を膵癌高危険因子と位置づけ、経過観察を行う。初回検査あるいは経過観察中に膵低エコー腫瘤や胞内結節を疑った場合に造影エコー検査を行う。造影剤はレボビストまたはソナゾイドを使用した。造影エコーの成績について検討する。<成績>1、検診施設や他院からの紹介などで当院初回に行ったエコー検査あるいは経過観察検査で検出した2cm以下の膵低エコー腫瘤154例に造影エコーを行った結果、周囲膵と比較してisovascularで積極的に悪性を疑わないと診断した59例、のう胞と診断した8例、副脾と診断した4例の計71例(46%)は特に精査を要さなかった。2、膵管癌29例の造影パターンはhypovascular28例、hypervascular1例であった。造影前のB-mode像で尾側膵管の拡張を認めない症例は6例あった。造影CT、造影MRで膵腫瘤を認識できない症例は3例あり、腫瘤の検出、鑑別に造影エコーが有用であった。3、膵嚢胞内結節を疑った99例中32例について造影で染影されないdebrisと診断し、特に精査を要さなかった。<考察>造影エコー検査は非侵襲的検査で、ヨード禁忌や腎機能低下例にも施行可能である。検査時間に約30分前後要すること、検者に2名を要することなど問題があるが、膵腫瘤の検出や精査を要さない症例の鑑別に有用であり、2次精査施設のみならず、検診施設においてもより精度の高い膵癌発見に有用と考える。
索引用語 膵, 造影エコー