セッション情報 シンポジウム7(消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

低用量アスピリンによる消化管粘膜傷害のup to date

タイトル 消S7-1:

低用量アスピリン起因性胃粘膜傷害におけるH.pylori感染の影響

演者 魚谷 貴洋(浜松医大・1内科)
共同演者 杉本 光繁(浜松医大・1内科), 古田 隆久(浜松医大附属病院・臨床研究管理センター)
抄録 【目的】高齢化社会に伴い、低用量アスピリン(LDA)の使用頻度が増加している。現在、LDAの定期内服による消化管粘膜傷害が問題となっているが、その頻度や重症度に対するH.pylori(HP)感染の影響は定かではない。今回我々は、HP感染の有無別にLDA投与時における胃粘膜傷害の発生頻度と重症度の違いを、胃内pHと併せて検討することを目的とした。【方法】内視鏡検査にて胃粘膜傷害を認めないHP陽性者6名(HP陽性群)とHP陰性者25名(HP陰性群)に対してLDA(100mg)を1日1回連続7日間投与した。投与前、投与7日目に上部消化管内視鏡検査と24時間胃内pHモニタリング検査を施行し、胃粘膜傷害の程度と胃酸分泌の程度を比較検討した。【結果】HP陽性群、HP陰性群ともに、LDA投与前と比較し投与7日目でmodified LANZA score(MLS)は有意に上昇した(HP陽性群3.0(2-4) p=0.04、HP陰性群2.0(0-5) p<0.01)。HP陽性群のMLSはHP陰性群と比較して高い傾向を認め、またMLS 2以上の胃粘膜傷害の発症頻度はHP陰性群で52%(13/25)であったが、HP陽性群では全例であった(6/6)(p=0.03)。HP陽性群におけるLDA投与前の胃内pHは、HP陰性群と比較して有意に高値であったが(HP陽性群3.20(1.89-5.25)、HP陰性群1.82(0.90-3.90)、p=0.01)、投与7日目では同程度であった(HP陽性群1.64(1.63-2.57)、HP陰性群1.96(0.76-3.33)、p=0.93)。HP陽性群は、LDA投与によって有意な胃内pHの低下を認めた(p=0.04)。【結語】HP陽性群はHP陰性群と比較して、LDAの投与によって高頻度に胃粘膜傷害が発症し、その重症度は高い傾向がある。その原因の1つとして、HP陽性群での粘膜の脆弱性に加えて、LDA投与による胃酸分泌の回復が関与している可能性がある。さらに症例を追加し報告する予定である。
索引用語 低用量アスピリン, H.pylori