セッション情報 シンポジウム8(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

消化器疾患における栄養マネージメント

タイトル 外S8-5:

終末期がんにおける消化器障害に対する栄養管理の必要性について

演者 片山 寛次(福井大・1外科)
共同演者 飯田 敦(福井大・1外科), 山口 明夫(福井大・1外科)
抄録 【目的】消化器外科医として緩和ケアチームとNSTを組織し率いてきた経験から,終末期がん症例に対する栄養管理の必要性について報告する.【方法】消化器癌に対する緩和医療の一環としての栄養治療としては,(1)消化管閉塞に対する治療;消化管バイパス手術,人工肛門造設造設術,胆管,消化管のステント術等,(2)栄養サポート;手術的胃瘻,腸瘻造設術等,(3)癌性腹水,胸水の管理;腔内化学療法,温熱灌流化学療法,腹水濾過濃縮再静注法等(CART)が挙げられる.これらの治療の第一の目標は,症状緩和による退院と在宅への移行である.ここで重要なことは,終末期をひとくくりにして積極的な栄養管理の対象外としないことである.栄養管理を行った場合の生命予後が月単位(終末期前期)であるか週単位(同中期)か日単位(同末期)かを評価し,前期なら外科治療を含む積極的栄養管理の適応である.また,我々消化器外科医は,緩和ケアチーム (PCT), NST)に参加することで,婦人科,泌尿器科癌の骨盤内再発や腹膜転移に対する,人工肛門造設やバイパス手術等の依頼,耳鼻科,口腔外科,脳外科等のPEG施行不能症例での開腹胃瘻,腸瘻造設術,等も増加している.また,効果的なKM式CARTを独自に改良し,病室や在宅でも施行可能であり癌性腹水症例のQOL向上に寄与している.従来,他の診療科医師では,消化器外科的処置が必要な時機を判断できず,腹膜炎や低栄養による合併症を惹起して初めて紹介された.(1) PCT, NSTの症例検討会では消化器外科医が参加し,必要な症例の消化器外科的治療を勧める,(2) 消化器外科を含む多職種多診療科によるキャンサーボードを推進する,の2点が有効である.【結論】緩和医療における消化器外科医の役割としては,1.消化器癌においては,症状緩和と在宅への移行であり,2.その他の診療科の癌症例における消化管閉塞への対処や経腸栄養のサポートもチーム医療の一環として消化器外科医が携わるべきと考えられる.
索引用語 栄養量法, 緩和医療