セッション情報 シンポジウム8(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

消化器疾患における栄養マネージメント

タイトル 消S8-7:

栄養サポートチーム(NST)で行う、消化管癌に対する術前栄養介入:SGA(Subjective Global Assessment:主観的包括的栄養評価)を用いたアセスメント

演者 丸山 常彦(日立製作所日立総合病院・外科)
共同演者 奥村 稔(日立製作所日立総合病院・外科), 大河内 信弘(筑波大大学院・消化器外科・臓器移植学)
抄録 【目的】当院のSGAは8項目で評価し「栄養障害なし」「中等度栄養障害」「高度栄養障害」群に分けている。入院時のSGAによる消化管癌術前の栄養評価の有用性を検討し、更にNSTによる外来から始める栄養介入を導入した。【方法】2006年4月から2009年2月まで当院で施行した消化管癌手術761例を対象として、入院時SGAと術後入院期間、合併症発生率を検討した。また、入院時に行われるSGAと同様の評価を外来で施行し、中等度栄養障害以上の症例に対して、NSTによる栄養介入を行い、免疫補助栄養剤IMPACTの入院前7日間の投与を行った。2010年5月から2010年11月まで、当院で施行した消化管癌手術145例を対象として前向き研究を行い、IMPACT飲用のコンプライアンス、術後在院日数、合併症発生率を術前栄養介入の導入前後で比較検討した。【成績】術前栄養介入前の術後在院日数中央値が中等度栄養障害17.5日(n=82)、栄養障害なし13.0日(n=676)、合併症発生率が中等度栄養障害37.8%、栄養障害なし16.6%と、有意に中等度栄養障害群で術後在院日数の延長と合併症発生率の高値を認めた。前向き研究で145例中、中等度栄養障害症例が18例(12.4%)認められ、IMPACT予定飲用量の91%が飲用されていた。術前栄養介入後の術後在院日数中央値は11.0日で有意に短縮していた。術後合併症発生率は33.3%と低下傾向を示した。プレアルブミン(平均値17.0mg/dl→19.5 mg/dl)および総リンパ球数(平均値1528 /μl→1852 /μl)は入院時に有意な上昇を認めた。【結論】消化管癌の手術において、入院時のSGAは術後在院日数、合併症発生率の予測に有用であった。外来でのSGAで「中等度栄養障害」以上と評価された症例は、NSTによる外来からの術前栄養介入を開始することで、免疫補助栄養剤の飲用コンプライアンスも良好となり、術後在院日数の短縮に有用であった。
索引用語 SGA, NST