セッション情報 シンポジウム8(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

消化器疾患における栄養マネージメント

タイトル 肝S8-9:

C型肝炎における過栄養とそれに対する食事/運動介入が病態・予後へ与える影響

演者 水田 敏彦(佐賀大附属病院・肝臓・糖尿病・内分泌内科)
共同演者 高橋 宏和(佐賀大附属病院・肝臓・糖尿病・内分泌内科), 江口 有一郎(佐賀大・総合診療部)
抄録 【背景・目的】C型肝炎では糖尿病,インスリン抵抗性(IR),肝脂肪化などの糖・脂質代謝異常がインターフェロン(IFN)治療効果や線維化,発癌へ影響することが報告されている.我々は過栄養による内臓脂肪蓄積や糖代謝異常がC型肝炎の経過にどのような影響を及ぼすか,またそれらに対する食事運動療法がどのような効果がもたらすかについて検討した.【対象・方法】対象はBMI,内臓脂肪面積(VFA),75gOGTT にてインスリン抵抗性(HOMA-IR)および感受性(WBISI)を評価しえたC型慢性肝炎および初発C型肝癌.検討1: ALT値,AFP値に寄与する因子(n=392),検討2:VFAとIRの関連(NAFLDとの比較)(n=87),検討3:SF-36によるQOL評価とIRとの関連(n=175),検討4:1型,高ウイルスに対するPEG-IFN+RBVのSVR率に寄与する因子(n=110),検討5:3ヶ月以上の食事運動療法がAFP値およびPEG+RBV治療成績に与える影響(n=24),検討6:発癌年齢に寄与する因子(n=556),検討7:耐糖能異常,IRが発癌に与える影響(前向き試験)(n=203).【結果】検討1:ALT値にはVFAに相関するHOMA-IR,HDL-C,肝脂肪化が有意に関連した.AFP値には線維化とともにWBISIが関連した.検討2:VFA増加に伴いNAFLDよりも強くIRが誘導された.検討3:QOLスコアはHOMA-IRと強い関連を認めた.検討4:WBISIおよびVFAがSVRに独立して寄与する因子である.検討5:食事運動療法にてAFP値は有意に低下し,SVR率は改善した.検討6:発癌年齢はBMIが高値であるほど若年化した.検討7:負荷後高血糖が発癌の最も強い危険因子であった.【結論】内臓脂肪蓄積を背景とした糖代謝異常やIRは, C型肝炎のあらゆる病期において悪影響を及ぼす.過栄養による内臓脂肪蓄積に対して適切な生活指導をおこなうことは,C型肝炎のIFN治療効果を改善するとともに,発癌予防にとっても重要である.
索引用語 C型肝炎, 内臓脂肪蓄積