セッション情報 シンポジウム8(消化器病学会・肝臓学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

消化器疾患における栄養マネージメント

タイトル 外S8-13:

肝胆膵外科手術におけるimmunonutritionの術後感染性合併症防止効果とメカニズムの臨床的研究

演者 鈴木 大亮(千葉大大学院・臓器制御外科学)
共同演者 古川 勝規(千葉大大学院・臓器制御外科学), 宮崎 勝(千葉大大学院・臓器制御外科学)
抄録 【目的】肝胆膵外科手術の中で膵頭十二指腸切除術や肝葉切除術は侵襲が大きく、術後感染性合併症発生率が高いことが知られている。今回、現在我々が行っている膵頭十二指腸切除術と胆管切除を伴う肝葉切除に対するimmunonutritionの臨床試験の結果と途中経過を報告する。【方法】(臨床試験A)膵頭十二指腸切除術(PD)予定の患者30名を対象とし、免疫強化栄養剤を術前5日間と術後経腸投与した群、術後のみ経腸投与した群、術後中心静脈栄養管理とした群の3群に分けた。(臨床試験B)PD予定の患者21名を対象とし、免疫強化栄養剤を術前5日間投与した群と投与しない群の2群に分けた。術後は両群とも通常経腸栄養剤による栄養管理とした。(臨床試験C)胆管切除を伴う肝葉切除術予定の患者20名を対象とし、術前免疫強化栄養剤を5日間投与した群と投与しない群の2群に分けた。術後は両群とも中心静脈栄養管理とした。【結果】(臨床試験A)免疫強化栄養剤を術前術後投与した群では、感染性合併症発生率が10.0%と他の2群(60%)に比べ有意に低かった。細胞性免疫能の指標であるCon A/PHA刺激リンパ球幼若化能(ConA/PHA)は術後7日目で他の2群に比べ有意に高値を示した。(臨床試験B)免疫強化栄養剤を投与した群では感染性合併症発生率が10.0%と投与しなかった群(63.6%)に比べ有意に低く、術後7日目のConA/PHAが有意に高値を示した。(臨床試験C)免疫強化栄養剤を投与した群では感染性合併症発生率が投与しなかった群に比べ有意差はなかったが低い傾向があり、術後3日目のConA/PHAが有意に高値を示した。【結語】PDに対するimmunonutritionは術前のみの投与でも術前後投与と同様に、術後免疫抑制と感染性合併症を抑えることが期待され、肝葉切除術においてもimmunonutritionは感染性合併症防止効果が期待された。
索引用語 免疫栄養, 膵頭十二指腸切除術