セッション情報 シンポジウム11(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

肝疾患に対する先端医療

タイトル 外S11-10:

脱細胞化肝骨格を用いた肝臓再生医療

演者 八木 洋(慶應義塾大・一般消化器外科)
共同演者 田邉 稔(慶應義塾大・一般消化器外科), 北川 雄光(慶應義塾大・一般消化器外科)
抄録 【背景】我々は3次元構造・ECMを損なわずに臓器全体を脱細胞化する技術を元に新しい肝再生医療を実現化するため大動物実験を進めてきた。今回肝・血管内皮細胞を再生着させ移植可能なことを示し得たため報告する。【方法】ブタ肝臓を用いた脱細胞化マトリックスの門脈から肝・血管内皮細胞を生着させ7日間にわたり肝細胞機能を解析した。免疫染色を用いて血管内腔が内皮細胞に裏打ちされているか、また電子顕微鏡を用いて肝細胞との相互関係をそれぞれ評価した。最終的に脱細胞化肝臓のみと細胞を生着させたグラフトをそれぞれAPOLTの方式で移植し病理組織学的に評価した。【結果】グラフト内の肝細胞は内皮細胞と共存することでALB・UREA合成能を保持し、微細血管が内皮細胞に裏打ちされ一部で類洞様構造を呈している様子が観察された。脱細胞化肝臓及び細胞生着グラフトを移植し、出血や組織破綻なく十分な血液還流を得られる上、生体内に留置可能であることが示された。また組織学的にも血液が細部に行き渡り十分な肝細胞機能発現が示された。【考察】大動物を用いた再生グラフト移植の成功は、現在同時に進めているiPS細胞技術を効率的に用いる技術基盤として臨床応用への可能性を十分に期待させる。
索引用語 肝再生, 移植