セッション情報 シンポジウム9(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)

プライマリーケアにおける機能性食道・胃疾患

タイトル 消S9-6:

日本人の上腹部症状は瀑状胃(CS)に多く、胃下垂(P)に少ない

演者 草野 元康(群馬大附属病院・光学医療診療部)
共同演者 保坂 浩子(群馬大大学院・病態制御内科学), 茂木 文孝(群馬県健康づくり財団)
抄録 【目的】我々は2010年の本会で、CSは性・年齢を一致させた非CSより高BMIで上腹部症状(症状)が多く、症状に対して独立した危険因子であること、Pは非Pに比べ低BMIで症状が有意に少ないことを報告した。今回は人間ドック受診者で症状の有無別・種類別に胃形態の検討を行った。【方法】バリウム検査を受けた男性5008名、女性2726名を対象とし、問診から有症状者を胸やけ群、胃もたれ群(膨満感、嘔気など)、心窩部痛群に分類した。造影は180 w/v %の硫酸バリウム165 mLおよび発泡剤6gを用い、CSは食道造影後の立位第一斜位像にて胃底部が屈曲しバリウムの貯留を認めるもの、Pは立位充満正面像にて両側の腸骨棘を結ぶ線より胃角小弯が下位に存在するものとし、両者以外を正常 (N)とした。造影検査で器質的疾患、胆石症例は除外した。症状の有無別にN、CS、Pの比率を検討した。多群間の比較はCochran-Arimitage test、2群間の比較にはFischer’s exact testを用いた。【成績】男性でCSは各症状群で有意に多く、女性のPは胃もたれ群で有意に少なかった(図)。【結論】2010年の検討と合わせ、日本人で瀑状胃は上腹部症状と密接に関連するが、胃下垂は上腹部症状が有意に少なく症状の原因ではないと思われる。
索引用語 胃形態, 上腹部症状