セッション情報 |
シンポジウム9(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)
プライマリーケアにおける機能性食道・胃疾患
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タイトル |
消S9-8:日本人機能性ディスペプシア患者の胃運動機能異常
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演者 |
富田 寿彦(兵庫医大・内科(上部消化管科)) |
共同演者 |
奥川 卓也(兵庫医大・内科(上部消化管科)), 三輪 洋人(兵庫医大・内科(上部消化管科)) |
抄録 |
【背景】近年、機能性ディスペプシア(FD)が注目され、その病態として様々な要因が挙げられるが胃運動機能異常もその一つである。症状と関連する胃運動機能異常として貯留能障害、排出障害が考えられているが、日本人FD患者で排出能・貯留能を総合的に検討した報告は少ない。【対象・方法】1:胃シンチグラフィ法が排出能のみならず貯留能の評価に有用であるかどうかを胃シンチグラフィ法で貯留能を評価した15人のボランティア(男女:11/4、平均年齢47.2±20.1歳)に対してBarostat検査を施行し、その相関を検討した。2:RomeIII基準で診断されたFD患者19名(男女:11/8名、平均年齢49.4±20歳)と性・年齢をマッチさせた健常人19名を対象として、胃シンチグラフィ法を施行した。4時間以上の絶食状態でスズコロイドTc-99m(37MBq)含有した試験食を座位で摂取した後、経時的に放射能を測定した。T1/2 で排出能を検討すると同時に、胃全体の上1/3を胃底部とみなして関心領域を設定し胃全体との比より貯留能を算出した。胃Barostat検査は、胃底部にポリエチレン製バルーンを挿入した状態で液体食(エンシュアH®)を摂取させ、胃底部の最大弛緩容量(ml)を算出した。【結果】1:ボランティア15名での胃シンチグラフィ法での貯留能とBarostat検査での最大弛緩容量との間には正の相関(γ=0.58、p<0.05)を認めた。2:胃シンチグラフィを用いて、FDでの胃運動機能を健常人のmean±SDを正常値として評価した場合、排出能・貯留能共に36.8%(7例)の患者で障害されていた。また15.8%(3例)の患者で両者が障害されていた。すなわちFD患者の57.9%に胃運動障害が認められた。【結語】日本人機能性ディスペプシア患者の約60%に排出異常あるいは弛緩障害を認めた。このことから我が国では胃運動機能異常の存在を念頭においてFD患者の診療にあたる必要性が示唆された。 |
索引用語 |
機能性ディスペプシア, 胃運動機能 |