セッション情報 |
シンポジウム9(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)
プライマリーケアにおける機能性食道・胃疾患
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タイトル |
消S9-10:PPI抵抗性NERDの原因
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演者 |
岩切 勝彦(日本医大・消化器内科) |
共同演者 |
川見 典之(日本医大・消化器内科), 坂本 長逸(日本医大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】食道生検を含めた上部消化管内視鏡検査、食道内圧検査、食道pH・多チャンネルインピーダンス検査を行いPPI倍量抵抗性NERD患者の原因を検討する。【方法】対象は消化管運動機能改善薬や漢方薬に加えPPI倍量分割投与を行うも逆流症状(胸やけ、つかえ感、胸痛)が残存したPPI倍量抵抗性NERD患者23症例(男性10人、女性13人、平均年齢52.6歳)である。PPI倍量抵抗性NERD患者と診断後、好酸球性食道炎の存在を確認するため上部消化管内視鏡検査を行い、食道所見に関わらず中部~下部食道から3個の生検を行った。内視鏡検査において異常がみられない場合には食道内圧検査を施行した。食道内圧検査施行も一次性食道運動障害の所見が得られない場合には、食道pH・多チャンネルインピーダンス検査を施行し逆流と症状の関連を検討した。食道pH・多チャンネルインピーダンス検査時にはPPI(倍量分割投与)のみを内服した状態で行った。液体逆流(液体単独逆流または混合【液体+空気】逆流)症状は液体逆流発生後5分以内の症状とした。逆流と症状の関連はsymptom index(液体逆流に伴う症状/総液体逆流回数)により評価を行い、symptom index(SI)が50%以上であった場合に症状は液体逆流に関連するものと判定した。空気単独逆流と症状の関連に関しては、個々の空気逆流と症状について検討を行い判定した。【成績】23例中の1例は内視鏡検査により好酸球性食道炎と診断された。好酸球性食道炎の1例を除く22例に対して食道内圧検査を行い、1例はびまん性食道痙攣と診断された。残りの21例に対して24時間食道pH・多チャンネルインピーダンス検査を施行した。21例中11例が液体逆流に対してSI陽性であり、4例は酸逆流(pH4未満)に対してSI陽性であり、7例は酸以外(pH4以上)の液体逆流に対してSI陽性であった。また1例は空気単独逆流による胸やけと診断した。【結論】PPI倍量抵抗性NERD患者23例中の14例(60.9%)の症状の原因が明らかとなった。約半数は液体逆流によるものであったが、食道運動異常、好酸球性食道炎、空気逆流が症状の原因である症例もみられた。 |
索引用語 |
NERD, 食道pH・インピーダンス検査 |