抄録 |
GERDは、QOLを強く障害するため日常診療において極めて重要な疾患であり、その約半数はNERDとされている。近年GERD患者は増加傾向にあり、プライマリーケアにおいて多くのNERD患者がみられる。そこで、第一線で診療に当たっている医師が、どのようにNERDの病態を考え、診断・治療を行っているかを知ることは非常に重要である。今回、我々は(大阪GERD研究会では)、3回にわたりGERDやNERDについてアンケート調査し、NERDに対する考え方や治療がどのように変化しているかを検討した。<対象と方法>GERDの概念・診断については2003, 07年に、治療についてはその2回に加え2010年にもアンケート調査を行った。対象は、大阪府、奈良・和歌山県下の大学、一般病院、診療所に勤務する409~447名の医師である。<結果>1)NERDの概念を正しく認識している医師は2003年では40%であったのが、07年には70%と増加していたが、大多数の医師がNERDとGERDをほぼ同様と考えていた。2)2回のアンケートの結果、GERDの診断に内視鏡検査を必須と考えている医師は約半数であり、内視鏡検査が必要である理由も、悪性疾患を除外するためと考えている医師が最も多く、逆流性食道炎の診断を得るため、GERDの重症度を知るため必要を考える医師は低率であった。3)NERDの治療に、常用量のPPIで治療を開始する医師は2003,07,10年のアンケートで、それぞれ24,25,42%と増加していた。また半量のPPIからの治療を加えた、PPIで治療を開始する医師は3回のアンケートで42,56,77%と増加していた。4)NERDの維持治療に、PPIを用いる医師は、半量のPPIが大半を占めるものの、3回のアンケートで64,71,78%と増加していた。5)2010年のアンケートの結果、90%以上と大多数の医師が、逆流性食道炎の治療および維持療法にPPIを用いていた。<結語>NERDやGERDに対する認識は向上してきているが、NERDとGERDは同様の病態と考えており、大多数の医師がその治療にPPIを用いるようになってきている。 |