セッション情報 シンポジウム9(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化吸収学会合同)

プライマリーケアにおける機能性食道・胃疾患

タイトル 消S9-15:

ディスペプシア症状を有する胃食道逆流症患者を対象としたランソプラゾール投与による自覚症状改善効果の検討(LEGEND study)

演者 木下 芳一(島根大・2内科)
共同演者 春間 賢(川崎医大・消化管内科), 三輪 洋人(兵庫医大・内科(上部消化管科))
抄録 【目的】胃食道逆流症(GERD)における定型症状は胸やけと呑酸とされているが、GERD患者の50~60%がディスペプシア(FD)症状を有している。FD症状への胃酸の関与が明らかになり、ランソプラゾール(LPZ)の胃酸分泌抑制作用による改善が期待できる一方で、今までに日本国内でFD症状に関する検討を行ったLPZの試験や調査はない。そこで、FD症状を有するGERD患者に対するLPZの改善効果を特定使用成績調査により検討した。【方法】LPZが投与されたFD症状を有するGERD患者を対象に、投与開始時、2、4週後に患者問診票を用いて自覚症状(胸やけ、呑酸、食後のもたれ感、早期飽満感、心窩部痛、心窩部灼熱感、胃部膨満感、悪心・嘔吐、げっぷ)の程度を調査し、LPZ投与前後での自覚症状の変化を消失、改善、不変、悪化、不明の5段階で評価した上で改善度(消失+改善の頻度)を算出した。【結果】14,965例が登録され、安全性解析対象例は13,514例、有効性解析対象例は12,653例であった。有効性解析対象例において、投与開始時に自覚症状を有する割合は、胸やけ92%、呑酸74%、食後のもたれ感79%、早期飽満感55%、心窩部痛59%、心窩部灼熱感57%、胃部膨満感62%、悪心・嘔吐50%、げっぷ62%であった。投与開始時と4週後を比較した自覚症状改善度は、胸やけ81%、呑酸67%、食後のもたれ感66%、早期飽満感48%、心窩部痛53%、心窩部灼熱感54%、胃部膨満感52%、悪心・嘔吐45%、げっぷ50%であり、GERD症状のみならずFD症状も改善した。また、投与4週後においてLPZ治療に対して満足した割合は79%、LPZ治療を希望した割合は85%であった。安全性解析対象例において有害事象発現率は0.8%であった。【結語】LPZ投与は、GERD患者の逆流症状のみならずFD症状も改善した。このことはLPZがFD症状を有するGERD患者の治療に有効であることを示唆している。
索引用語 GERD, 食後のもたれ感