セッション情報 シンポジウム10(消化器病学会・肝臓学会合同)

C型肝炎治療の新たな展開

タイトル 肝S10-1:

IL28B・ITPA遺伝子検査に基づいたペグインターフェロン・リバビリン治療効果予測

演者 松浦 健太郎(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学)
共同演者 田中 靖人(名古屋市立大大学院・病態医科学), 溝上 雅史(国立国際医療研究センター・肝炎・免疫研究センター)
抄録 【背景・目的】C型慢性肝疾患に対するPEG-IFN/RBV療法においてIL28B,ITPA遺伝子多型の測定は治療効果,貧血の予測に有用である.今回,PEG-IFN/RBV療法における1) ITPA遺伝子多型を含んだ貧血関連因子,2) IL28B,ITPA遺伝子多型と治療効果について検討した.【方法】対象は全国多施設共同研究におけるgenotype 1,高ウイルス量例.(検討1)解析対象462例,治療開始4週で重度貧血(3g/dL以上のHb低下,あるいはHb<10g/dL)に至る頻度,要因について.(検討2)IL28B,ITPA遺伝子多型と治療効果について (解析対象48週投与468例,延長投与67例).IL28B,ITPA遺伝子多型はrs8099917,1127354をTaqMan法で測定.【結果】(検討1)rs1127354;CA+AAの頻度は26%.治療開始4週でのHb減少値はCC;-2.7±1.4g/dL,CA+AA;-1.0±0.8g/dL(p<.0001)であり,3g/dL以上減少した例はCCで43%(148/344),CA+AAで1.7%(2/118)であった(p<.0001).Hb<10g/dlとなる治療前要因(年齢,性別,体重,血小板値,Hb値,Ccr,rs1127354遺伝子多型)について多変量解析を行うとHb値,rs1127354;CC,Ccrが有意な因子であった.(検討2) 以下rs8099917;TT症例における治療効果について示す.48週投与例において,60歳未満ではITPA遺伝子多型による治療効果には有意差を認めなかった.60歳以上ではrs1127354;CA+AAではCCに比べSVR率が良好であり[60%(21/35) vs. 41%(43/106), p<.05],60歳未満のSVR率と同等であった.また60歳以上の女性は男性に比べSVR率が低かった[38%(29/77) vs. 55%(35/64), p<.05].延長投与例においてはITPA遺伝子多型による治療効果に有意差は認めなかった.【結語】PEG-IFN/RBV療法における貧血にはITPA遺伝子多型,Ccr,治療前Hb値が関連する.IL28B,ITPA遺伝子多型,年齢,性別の層別化解析によりPEG-IFN/RBV48週では治療効果が十分でない患者群が明らかとなった.共同研究者:厚労省研究班
索引用語 IL28B, ITPA