セッション情報 シンポジウム10(消化器病学会・肝臓学会合同)

C型肝炎治療の新たな展開

タイトル 肝S10-9:

C型肝炎症例におけるPEG-IFNα2a少量長期投与による肝発癌抑止効果の検討:全国多施設共同研究

演者 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科)
共同演者 山田 剛太郎(川崎医大川崎病院・肝臓・消化器病センター), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓科)
抄録 【目的】HALT-C研究の長期観察によって欧米ではPEG IFNα2a長期投与によってnon-responderの肝線維化進展例で肝発癌が証明されたが、わが国での十分な成績はない。そこで、厚生労働省「ウイルス性肝炎における最新の治療法の標準化を目指す研究班」で全国多施設共同研究(21施設)を行い、PEG-IFNα2a少量長期投与による肝発癌抑止効果を検討した。【方法】48週以上のPEG IFNα2a投与あるいは経過観察が可能であった693例(PEG-IFNα2a群 594例, control群 99例、肝庇護療法32例、未治療67例)を対象に、発癌に寄与する因子を検討した。さらに、propensity matched control studyによる両群間の発癌率比較を行うとともに、PEG-IFNα2a投与中の肝発癌抑止に関与する因子を検討した。【成績】多変量解析の結果から、有意に発癌に寄与する因子は年齢、性別、Staging、血小板数、T.Bilであった。PEG-IFNα2a群は propensity matched control studyによって、control群に比し約1/6に発癌リスクを抑え(リスク比:0.1666)、有意に発癌が抑制されていた(p=0.0187)。特に線維化進展例(F3-4)において顕著であった(リスク比:0.0847,p=0.0036)。PEG-IFNα2a投与24週目のALT値が40IU/L以下または AFP値10ng/mL未満のいずれか一方が達成されていれば、有意に肝発癌が低下していた。【結論】PEG-IFNα2a長期投与はcontrol群に比し、有意に発癌が抑制され、肝線維化進展例で顕著であった。投与開始24週目のALT 40 IU/L以下またはAFP 10 ng/mL未満が達成された場合には肝発癌率が低かった。
索引用語 C型慢性肝炎, 肝発癌