セッション情報 シンポジウム10(消化器病学会・肝臓学会合同)

C型肝炎治療の新たな展開

タイトル 肝S10-13:

IL28B genotype (rs8099917)、HCVコアアミノ酸70置換と治療前血清I-P10値からみた治療効果

演者 狩野 吉康(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科))
共同演者 小関 至(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科)), 豊田 成司(札幌厚生病院・3消化器科(肝臓科))
抄録 【目的】PEG/RBV療法にプロテアーゼ阻害剤を加えたC型肝炎に対する新たな抗ウイルス療法の承認が目前に迫っている。IL28B genotype(rs8099917)、HCVコアアミノ酸置換および自然免疫の指標として血清IP-10を用い、PEG/RBV療法、PEG/RBV+プロテアーゼ阻害剤療法の効果を規定する因子を検討する。【方法】PEG/RBV療法を施行した遺伝子型1b高ウイルス量のC型慢性肝炎149例およびPEG/RBV療法にプロテアーゼ阻害剤を加えた三剤併用療法を施行した16例を対象とした。当科症例の多変量解析でSVR/NVRに寄与する因子からIL28B genotype(TT/TG・GG),Core70変異(Wild/Mutant)、血清IP-10活性(pg/ml)(600</600≧)から抗ウイルス効果の判別を試みた。【成績】PEG/RBV療法の効果(SVR/TVR/NVR)(%)はIL28B別に TT(50/34/16)、TG・GG(18/12/71),Core70変異別にWild(44/30/26)、Mutant(32/22/46)、血清IT-10値別に600pg/ml未満(45/27/28)、600以上(18/24/58)であった。IL28B TT、Core 70 Wild、IP-10低値で抗ウイルス効果が良好であった。IL28B TG・GGかつCore 70 MutantからのNVR予測例でSVRとなった4例(乖離例)では血清IP値が有意に低値であった(324 vs 520 pg/dl, P=0.004)。一方、IL28B TTかつCore 70 WildからのSVR予測例でNVRとなった7例(乖離例)ではIP値が高値であった(454 vs 356 pg/dl, P=0.2672)。三剤併用療法の効果はIL28B別に TT(100/0/0)、TG・GG(43/57/0),Core70変異別にWild(86/14/0)、Mutant(67/33/0)、血清IT-10値別に600pg/ml未満(85/15/0)、600以上(33/67/0)で、81%でSVRとなった。IL28B TG/Core 70 MutantのNVR予測例のSVRは2例(乖離例)でIP-10値は低値(各236,440pg/dl)であった。【結語】三剤併用療法においてもIL28B TG/Core 70 Mutant例は治療抵抗性であった。IP-10高値例では更に治療抵抗性が高まることが示唆され、これらの症例では治療の延長も考慮するべきである。
索引用語 IP-10, IL28B