セッション情報 シンポジウム10(消化器病学会・肝臓学会合同)

C型肝炎治療の新たな展開

タイトル 肝S10-14:

C型肝炎に対する新規薬剤(プロテアーゼ阻害剤、NS5A阻害剤)の治療効果

演者 鈴木 文孝(虎の門病院・肝臓センター)
共同演者 瀬崎 ひとみ(虎の門病院・肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院・肝臓センター)
抄録 【目的】現在C型慢性肝炎に対する治療はPeginterferon(PEG-IFN)とRibavirin(RBV)併用療法が主体となっている。しかし本邦で最も多いGenotype 1型、高ウイルス量症例に対するPEG-IFNとRBV併用療法での完全著効(SVR)率は、約50%であり十分な成績とはいえない。またC型肝炎患者の高齢化に伴い、IFN療法が使用できない症例も増加してきている。プロテアーゼ阻害剤、NS5A阻害剤は、新規の抗HCV薬でありGenotype 1型のHCVに対して強力なRNA低下作用を有する。当院でのこれら新規薬剤の治療成績の検討を行なった。【方法】対象は、Genotype 1b型、高ウイルス量(5.0 Log IU/mL以上)で、(1)NS5A阻害剤(BMS970052;10mgまたは60mg/day)+PEG-IFN+RBV併用療法(24週間)を施行したNaive9例、PEG-IFN+RBV療法のNVR(null)8例。(2)プロテアーゼ阻害剤(BMS650032)+NS5A阻害剤の併用試験(24週間)を行ったNaive12例、PEG-IFN+RBV療法のNVR11例。【成績】(1)Naive9例では、NS5A阻害剤10mg投与群の1例以外8例で6週目までにRNAが陰性化し、終了後12週目の陰性化率(SVR12)では10mg群40%(2/5)、60mg群100%(4/4)であった。NVR例に対しては、6週目までに8例中6例でRNAが陰性化しSVR12は10mg群25%(1/4)、60mg群33%(1/3)であった。(2)Naive12例では、全例で6週目までにRNAが陰性化し1例で16週目に再燃したが、残り11例は投与中陰性化が持続している。NVR11例では、9例が8週目までにRNAが陰性化した。1例は2週目にT.Bilの上昇を認め中止したがその後SVRとなった。また1例は6週目RNA陽性にてPEG-IFN/RBVとの併用療法に移行した。現時点でのSVR12は100%(4/4)である。また投与2週間のRNA量の低下量はNaive/NVR、Core aa70のWild/MutantやIL28B SNPsのMajor/Minor alleleに関係なく良好であった。【結論】新規治療薬であるプロテアーゼ阻害剤、NS5A阻害剤は強力な抗HCV作用を認めている。特に内服2剤併用療法では、ウイルス側因子、生体側因子に関係なく良好な成績である。
索引用語 C型肝炎, 新規治療薬