セッション情報 シンポジウム11(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器がんの発育速度と有効な検診間隔

タイトル 検S11-3:

胃がん,大腸がんの発育速度と有効な検診間隔

演者 入口 陽介(東京都がん検診センター)
共同演者 小田 丈二(東京都がん検診センター), 水谷 勝(東京都がん検診センター)
抄録 【目的】胃がんと大腸がんの発育速度を内視鏡経過例から推測し,有効な内視鏡検診間隔について検討した.【方法】過去10年間に,当センターで経験した胃癌のうち,5年以内に内視鏡検査歴がある278例中,過去の上部内視鏡像の見直し診断で異常を指摘できた胃がん121例を対象として,肉眼型別に発育進展を解析し,検診間隔について検討した.上部内視鏡検査は,検査時間8~10分,胃静止画観察40コマ以上.また,大腸がんについては,過去に大腸内視鏡検査を受けた経験があり,その後,経過中に便潜血検査を受けなかったMP以深癌21例を対象として,深達度と予後因子,5年生存率をもとに検診間隔について検討した.【成績】発育速度:早期胃癌のうち,表面隆起型33例と隆起型4例の発育速度を腫瘍径で比較すると,もっとも早い症例では約5年で約3倍となっていたが,深達度で比較すると,3~5年で SM癌に発育したのは3例のみであった.陥凹型84例では,発育速度を深達度で比較すると,2~4年の経過でM癌からSM以深浸潤癌となったのは23例であり,肉眼型で発育速度に相違が認められた.経過年数別にみた胃癌の深達度は,1年(M:149,SM:39,MP:3,SS:1),2年(M:28,SM:8,MP:1),3年(M:14,SM:5,SS:4,SE:2),4年(M:8,SM:6),5年(M:9,SM:1)であった.また経過年数別にみた大腸癌の深達度は,1年(MP:2,SS:5),2年(MP:2,SS:8,SE:1),3年(SS:1),5年(SS:2)であった.5年生存率(2004年発見)は,早期胃癌:92.4%,進行胃癌:49.6%,大腸癌の5年生存率は,早期大腸癌:94.7%,進行大腸癌:80.2%であった.【結論】内視鏡検診間隔は,検査の精度,対象年齢の罹患率などによって異なるが,任意型検診として行う場合,上部内視鏡検査は2年,大腸内視鏡検査は3年の検診間隔までは有効性が得られることが推測できる.
索引用語 発育進展, がん検診