セッション情報 |
シンポジウム12(消化吸収学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
食欲・消化吸収をめぐる生理活性物質の新展開
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タイトル |
消S12-1:グレリンの胃酸分泌増加作用の機序に関する研究
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演者 |
林 健次郎(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
櫻田 智也(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科), 屋嘉比 康治(埼玉医大総合医療センター・消化器・肝臓内科) |
抄録 |
目的:食欲亢進ホルモンであるグレリンの食物消化への関与を明らかにするため、グレリンの胃酸分泌について検討した。方法:胃内腔灌流ラットを作成したのち、滴定法にて酸分泌を測定した。次にグレリン静注を基礎酸分泌の状態にて行い、前後の酸分泌量を比較した。また、下部食道に併走する両側迷走神経幹を横隔膜下にて切断し、迷走神経切断によるガストリン刺激下酸分泌に対するグレリンの影響を検討した。さらに、アトロピン静注によるガストリン刺激下酸分泌に対するグレリンの影響を検討した。そしてガストリンおよびグレリン静注による胃粘膜内 HDCmRNAをリアルタイムRT-PCR法にて定量した。成績:アシルグレリン20 μg/kgを静脈内投与すると、胃酸分泌が4.8倍に増大したが、デスアシルグレリンは200 μg/kgの用量で静脈内投与しても酸分泌に対する作用が認められなかった。アシルグレリンはガストリン刺激による酸分泌を増強したが、デスアシルグレリンは増強しなかった。迷走神経を切断すると、ガストリン刺激による酸分泌をアシルグレリンが増強する作用が著しく抑制された。アシルグレリンを投与すると、1時間後には、HDC mRNA濃度が2.1倍に上昇し、投与2時間後には2.3倍に上昇した。デスアシルグレリンには、同様の作用は認めなかった。HDC mRNAの濃度に関しては、アシルグレリンとガストリンの間に相乗作用が認められた。結論:アシルグレリンはヒスタミン産生を増加し,胃酸分泌を増加させる。グレリンとガストリンの間には相乗的に酸分泌を増加させる。グレリンは食欲亢進以外にこの酸分泌増加作用によって食物消化を促進する。 |
索引用語 |
酸分泌, グレリン |