セッション情報 シンポジウム11(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器がんの発育速度と有効な検診間隔

タイトル 内S11-4追1:

内視鏡的経過からみた早期胃癌から進行癌への時間的推移

演者 長浜 孝(福岡大筑紫病院・消化器内科)
共同演者 松井 敏幸(福岡大筑紫病院・消化器内科)
抄録 【目的】内視鏡的経過からみた早期胃癌から進行癌への時間的推移より,検診間隔の設定を考察する.【対象】当院または紹介病院で内視鏡的(遡及的あるいは前向き)に6ヶ月以上の経過があり,初回検査画像より早期胃癌と推定された112病変(初回検査時深達度M:SM 97病変:15病変)を対象とした.【方法】1)初回検査から終回検査までの観察期間を発育進展期間と定義し,早期癌→進行癌であった病変を進展例,早期胃癌→早期胃癌であった病変を非進展とし,Kaplan-Meier法を用いて累積早期胃癌率を求めた.2)終回検査で進行癌へ進展した病変のみを対象とし,観察期間各年毎(1~5年まで)の累積頻度を求めた.【成績】1)観察期間中に早期癌から進行癌へ進展した病変の頻度は24.1%(27/112病変)であり,早期胃癌の25%が進行癌になるために51ヶ月,50%が進行癌となるために111ヶ月を要していた.2)進行癌へ進展した27病変のうち,観察期間1年以内に進行癌と診断された頻度は7.4%(2/27),2年以内の累積頻度は29.6%(8/27),3年以内は 44.4%(12/27),4年以内は63.0%(17/27),5年以内は74.1%(20/27)であった.2年以内に進行癌へ進展した病変は,M癌全体の2.1%(2/97),SM癌全体の40%(6/15)であった.【結語】内視鏡的経過例からみた早期胃癌から進行癌への平均的な発育進展速度は10年程度で比較的緩徐であった.一方,進行癌へ進展した症例を対象とした場合,観察期間2年以内の累積頻度は約3割であるため,胃癌死亡率の低下を目的とした年一回の検診間隔は妥当と考えられた.そして進展速度の速いSM癌を見落とさない検診精度が必要である.
索引用語 胃癌, 発育進展