セッション情報 シンポジウム11(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器がんの発育速度と有効な検診間隔

タイトル 内S11-7:

無症状性大腸癌の発育速度と有効な検診間隔

演者 光島 徹(亀田メディカルセンター幕張)
共同演者 金 潤哲(亀田メディカルセンター幕張), 山地 裕(東京大・消化器内科)
抄録 【目的】我々が1983年から実施しているscreening colonoscopy(SCS)にて発見された大腸癌症例を分析することにより、我が国における無症状性大腸癌の発育速度と有効な検診間隔を考える。
【対象・方法】1983年4月から2008年3月までの25年間に、我々の人間ドックSCSを受診したのは男性94,819名、女性30,187名、計125,006名。これらの重複を排した受診者の実数は男性24,579名、女性9,792名、計34,371名。初回受診時における平均年齢は、男性48.1歳(20歳~91歳)、女性50.2歳(20歳~86歳)。
【結果】1.初回発見癌.性・年齢と深達度:m癌の症例数と平均年齢は、男性120例:55.6歳(38歳~71歳)、女性20例:53.9歳(39歳~73歳)、全体では140例:55.4歳。sm癌は男性26例:54.3歳(36歳~66歳)、女性9例:56.4歳(48歳~66歳)、全体では35例:54.9歳。進行癌は男性53例:59.0歳(38歳~88歳)、女性13例:60.5歳(46歳~77歳)、全体では66例:59.3歳。2.経年発見浸潤癌.発見の経過:癌なしとされたCSから2年未満に発見されたsm以深(浸潤)癌は6例、2年以上3年未満7例、3年以上4年未満1例、4年以上5年未満3例、5年以上(12年)1例。
【考察・結語】我々のSCSで発見された大腸癌症例の平均年齢は、m癌とsm癌ではm癌の方が高いという奇妙な結果が得られた。sm癌と進行癌との間は4.4年と、特に矛盾のない結果であった。また経年例では、大腸癌なしとされてから比較的短期間で、浸潤癌が発見された例があった。これらの成績から、我が国の無症状性大腸癌には、発がん年齢が遅くて発育速度が遅い、発がん年齢が若くて発育速度が速いなど様々なタイプの大腸癌が混在していることが示唆された。真に有効な大腸がん検診を実施するためには、受診者の年齢やリスクの程度、癌の生物学的特性に配慮した、適切な検診間隔を設定する必要がある。
索引用語 大腸癌, 検診間隔