セッション情報 シンポジウム11(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

消化器がんの発育速度と有効な検診間隔

タイトル 内S11-10追3:

大腸内視鏡サーベイランスの設定にAberrant crypt foci (ACF)測定は有効か?

演者 内山 崇(茅ヶ崎市立病院・消化器内科DELIMITER横浜市立大大学院・分子消化管内科学)
共同演者 高橋 宏和(横浜市立大大学院・分子消化管内科学), 中島 淳(横浜市立大大学院・分子消化管内科学)
抄録 【目的】大腸癌は本邦においてに罹患率・死亡率ともに年々増加している疾患であり,その対策・予防が急務とされている.現在大腸内視鏡検査,および内視鏡的ポリープ切除により大腸癌二次予防が行われているが,一方で大腸ポリープ切除後のサーベイランスの間隔あるいは危険因子の確立に関して明確なエビデンスはない.本研究では大腸腺腫,癌と相関があるAberrant crypt foci (ACF)が大腸ポリープ再発の予測因子となりうるかを検討した.【方法】2006年から2007年の間に横浜市立大学附属病院で大腸ポリープ切除を施行した82症例の下部直腸のACF数を計測した.3年後のサーベイランスでの大腸ポリープ再発の有無を確認しACF数との相関を解析した.【成績】大腸ポリープ切除3年後のポリープ再発の危険因子として初回切除時のポリープ径,病理組織型,個数,喫煙歴が認められた.ACF数は再発群(7.88±6.35個)では非再発群(2.19±2.95)より有意に多かった(p<0.001).多変量解析においてもACF数は再発群と非再発群の間で有意差を認めた(p<0.001).ROC解析では曲線下面積は0.836,cut off値は6で尤度比は5.775であった.【結論】下部直腸のACF数は大腸ポリープ切除後の再発予測因子として有用であると考えられる.ACF数が多い症例では厳重はサーベイランスが必要である.ACF数は定量性が高く,今後はACFの計測に基づく適切なサーベイランスの設定など個別化医療への応用が考えられる.
索引用語 大腸癌, ACF