セッション情報 |
シンポジウム11(消化器がん検診学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
消化器がんの発育速度と有効な検診間隔
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タイトル |
消S11-12追4:分枝型IPMN症例に発生した膵癌の発育速度と有効な検診間隔の検討
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演者 |
羽廣 敦也(琴似ロイヤル病院・消化器病センター) |
共同演者 |
丹野 誠志(琴似ロイヤル病院・消化器病センター), 小泉 一也(旭川医大・消化器・血液腫瘍制御内科) |
抄録 |
【目的】近年、分枝型IPMN症例を膵癌高危険群とすることが効率的な膵癌検診になり得るのか注目されている。本研究では、分枝型IPMN症例における膵癌検診の有効な検診間隔を明らかにするため、膵癌の発生頻度、発育速度について検討した。【対象と方法】EUS・ERCPを施行し、1年以上の経過観察を行った分枝型IPMN 129例を対象とした(男女比82:47、平均年齢67.7±10.4歳)。平均観察期間88.4±57.2ヶ月における膵癌の1)発生頻度、2)標準化死亡比、累積発生率、3) doubling timeについて検討した。【結果】1) 129例における膵癌発生頻度は7.0%(9例)であった。膵癌発生例の男女比は6:3、平均年齢72.1±7.3歳、膵癌発生までの平均観察期間90.7±67.7ヶ月、膵癌の平均径23.7±3.3 mm、膵癌発生部位はIPMNの頭側4例、尾側5例であった。糖尿病増悪は1例に認められた。診断時Stageは直近3年間の4例でIII 2例、IVa 2例、過去の5例でIVa 4例、 IVb 1例であった。診断契機となった画像検査の多くは造影CTで、1例はPETであった。2) 年齢・性を調整した標準化死亡比は19.7(95%CI 6.3-32.2)であった。膵癌累積発生率は5年3.8%、10年6.8%であった。3)画像所見の遡及的検討の結果、9例中3例に膵癌診断の6~10ヶ月前の造影CTにて、先行病変と推定される部位を指摘できた。残りの6例では異常の指摘は困難であった。指摘可能であった3例のdoubling timeは180.3±21.9日であった。【結論】分枝型IPMN症例における膵癌発生率は7.0%、標準化死亡比は19.7と高率であり、分枝型IPMN症例は膵癌検診の高危険群になり得ると考えられた。膵癌の発育速度を検討した結果、膵癌死亡率減少効果を期待するには検診間隔として6ヶ月毎の注意深い画像検査が必要と考えられた。 |
索引用語 |
IPMN, 膵癌検診 |