セッション情報 シンポジウム12(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)

消化器疾患と免疫

タイトル 消S12-8:

IL-17はHSP47の発現を介してクローン病腸管線維化に関与している

演者 本澤 有介(京都大・消化器内科)
共同演者 仲瀬 裕志(京都大・消化器内科), 千葉 勉(京都大・消化器内科)
抄録 【目的】Crohn's Disease (CD) の腸管線維化の機序解明は臨床上重要な課題である。Heat shock protein (HSP) 47は小胞体に局在するストレス蛋白質であり、I -V型の各種コラーゲンに結合し、各種線維化疾患で強く誘導されることが報告されている。我々はCD患者における血清HSP47値はulcerative colitis (UC) 患者や健常人に比較して有意に高いことを報告してきた。IL-17は、CDの病態形成に関与していることが報告されている。しかしながら、現在IL-17とCD腸管線維化との関連についての報告はない。そこで、今回我々はCD腸管線維化機序におけるIL-17とHSP47の関連についての検討を行った。【方法】方法(1) CD及びUC患者の手術検体を用いて腸管組織中のHSP47陽性細胞数を蛍光免疫染色法で比較した。(2) 各疾患腸管組織におけるHSP47, collagen(Col) , TGF-β1及びIL-17などの遺伝子発現をqRT-PCR法により解析した。(3) NIH3T3及び手術検体から単離されたmyofibroblastを用いて、IL-17による刺激試験を行い、HSP47及びColの発現に与える影響をqRT-PCR及びWesternblot(WB) 法にて検討した。(4) IL-17による刺激後、HSP47の発現に関与する転写因子をWB法により検討した。【結果】(1) 腸管組織中のHSP47陽性細胞数はUCと比べCDで有意に増加していた。(2) CD腸管組織においてHSP47, Col, TGF-β1及びIL-17の遺伝子発現はUCに比し有意に上昇していた。(3) IL-17の刺激によりNIH3T3, human myofibroblastにおけるHSP47及びColの発現増強が認められた。(4) IL-17によるMAPKの活性化がHSP47の発現に関与していることが示された。【結語】IL-17はmyofibroblastにおけるHSP47の発現増強に関与していることが示された。今回の結果から抗腸管線維化療法としてIL-17が分子標的となる可能性が示唆された。
索引用語 Crohn's Disease, Heat shock protein 47