セッション情報 |
シンポジウム12(消化吸収学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)
食欲・消化吸収をめぐる生理活性物質の新展開
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タイトル |
消S12-3:生体内におけるGhrelinとMotilinの関係
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演者 |
小川 敦(群馬大・病態総合外科) |
共同演者 |
持木 彫人(群馬大・病態総合外科), 桑野 博行(群馬大・病態総合外科) |
抄録 |
【背景】GhrelinはGHS受容体の内因性リガンドとして、ヒト及びラットの胃組織より精製、構造解明された消化管ホルモンである。Ghrelinは、ラットやヒトにおいて消化管運動を亢進するという報告がある。しかし、意識下犬を用いた当科の研究では、Ghrelinは消化管運動に影響を与えなかった。そこで、我々は意識下犬における血中Ghrelin濃度の日内変動パターンの観察し、Ghrelinの消化管運動へ与える影響を詳細に検討するとともに、同様の消化管ホルモンであるMotilinとの相互関係について検討した。【対象と方法】ビーグル種成犬を用いて全身麻酔下に、胃、十二指腸、空腸にForce transducerを縫着し、意識下に消化管運動を測定。 (1) 空腹期の消化管運動をモニターしながら、IMC (Interdigestive Migrating Contractions)を観察、GhrelinとMotilinの血中濃度を測定し、相関関係について検討。(2) IMCのPhase-II, -IIIでGhrelinを投与し、消化管運動と血中Motilin濃度に与える影響を検討。(3)Phase-IでGhrelinを持続投与し、IMCの出現とMotilinの濃度に与える影響を観察。また、Ghrelin antagonist (GHRP-6)を前投与した場合とで比較検討。(4) Phase-IでMotilinを投与し、血中Ghrelin濃度に与える影響を検討。【結果】(1) GhrelinはMotilinのピークの直後(Phase-IIIの直後)に血中濃度がピークになり、周期的に変動している。(2) Ghrelinを投与すると、血中Motilin濃度は減少傾向を示し、Phase-IIIを抑制する。(3)Ghrelinを持続投与すると、Motilin濃度は上昇せず、IMCを抑制する。Antagonistを前投与するとMotilin濃度は上昇し、通常のIMCが観察される。(4) Phase-IでMotilinを投与すると、血中Ghrelin濃度は有意に減少する。【結論】GhrelinはMotilinと連動するように血中濃度が周期的に変動している。Ghrelinは胃のPhase-IIIを終了させ、Motilinの放出をコントロールしている可能性があり、IMCはGhrelinとMotilinによって制御されていることが示唆された。 |
索引用語 |
消化管ホルモン, IMC |