セッション情報 |
シンポジウム12(消化器病学会・消化器内視鏡学会・肝臓学会合同)
消化器疾患と免疫
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タイトル |
消S12-11:炎症性腸疾患病原性メモリーCD4+T細胞は腸管粘膜から全身血流に再循環する
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演者 |
根本 泰宏(東京医歯大・消化器内科) |
共同演者 |
金井 隆典(慶應義塾大・消化器内科), 渡辺 守(東京医歯大・消化器内科) |
抄録 |
【背景】我々は炎症性腸疾患が慢性化する要因として、腸管粘膜内メモリーCD4+T細胞の腸管外リザーバー臓器への再循環経路が重要であると主張してきた。一方これまで"腸管指向性”である腸管粘膜内CD4+T細胞は、再循環することなく局所においてアポトーシスに至ると考えられてきた。【目的/方法】腸管粘膜内CD4+T細胞再循環経路の解明を目的とし、腸管粘膜への新規細胞局所投与法を開発し以下の実験を行った。【結果】経口腸管洗浄剤、プロナーゼ、50%エタノールによる前処置法により、管腔内から粘膜固有層へのアクセスを最大限にし、SCIDマウスにWTマウス脾臓CD4+T細胞を注腸投与した。10週後、移入した細胞は腸管のみでなく腸間膜リンパ節、脾臓においても検出され、すべてメモリーT細胞に分化していた。同様にCD4+CD45RBhighT細胞移入マウス大腸炎粘膜メモリーCD4+T細胞をSCIDマウスに注腸投与したところ、腸管、脾臓、リンパ節でのCD4+Tの増殖と腸炎の発症を認めた。GFPマウス脾臓CD4+T細胞をRAG2-/-マウスに注腸投与し、各臓器における6、24、168時間後のGFP+CD4+細胞数を検討したところ、腸管→腸間膜リンパ節→脾臓のルートで再循環が認められた。肺、皮膚などのCD4+T細胞の再循環経路がCCR7依存性という報告があるため、CCR7-/-およびWTマウスCD4+T細胞をRAG2-/-マウスに注腸し、2週間後の各臓器のCD4+T細胞数を検討したところ、両群に有意差はなく、腸管粘膜からのCD4+T細胞の再循環経路はCCR7非依存的であることが判明した。また本機構におけるGALTの役割を検討する目的でWTマウスCD4+T細胞をRAG2-/-およびLTα-/- x RAG2-/-マウスに注腸し、2週間後の各臓器のCD4+T細胞数を検討したところ、両群に有意差はなく、本機構はGALT非依存的であることが判明した。【結語】CD4+T細胞が腸管粘膜から全身血流へ再循環することが証明された。今回開発した細胞の注腸投与法は腸管粘膜内免疫細胞の動態解明に有用なツールであり、細胞治療の新規経路としても応用可能と思われる。 |
索引用語 |
CD4, 再循環 |