セッション情報 シンポジウム14(肝臓学会・消化器病学会合同)

代謝性・遺伝性肝疾患研究の進歩

タイトル 消S14-4:

C型慢性肝炎患者における鉄過剰とHFE遺伝子変異、hepcidinとの関連性

演者 石津 洋二(名古屋大・消化器内科)
共同演者 片野 義明(名古屋大・消化器内科), 後藤 秀実(名古屋大・消化器内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎患者においてしばしば肝臓に過剰鉄を認めるが、その機序については不明な点も多い。Hepcidinは腸管からの鉄吸収を調節するペプチドホルモンであり、C型慢性肝炎患者における鉄過剰との関連性が報告されている。また白人の遺伝性ヘモクロマトーシスの主要な原因遺伝子であるHFE遺伝子変異がhepcidinの産生を抑制し鉄過剰を起こすと考えられている。今回我々は本邦のC型慢性肝炎患者における鉄過剰とHFE遺伝子、hepcidinとの関連性について検討した。【方法】当院にC型慢性肝炎にて来院した231例において、HFE遺伝子のH63D変異とS65C変異をPCR-RFLP法で解析した。また43例において活性型であるhepcidin25値を測定した。コントロール群として、ferritin値を肝炎群に合わせた成人男性13例のhepcidin25値を測定した。【結果】H63D変異は14例(6.1%、全例hetero)に認められた。S65C変異は認められなかった。Hepcidin25値はコントロール群32.4±22.0ng/ml(ferritin値:112.3±61.5ng/ml)に対し、C型慢性肝炎群(男性のみ29例)では15.4±11.0ng/ml(ferritin値:107.4±109ng/ml)と有意に低値(p=0.002)を示した。男女含めた43例においてhepcidin25値はferritin値と有意な相関を示した(r=0.458, p=0.007)。一方、H63D変異は5例含まれていたが、変異の有無においてhepcidin25値、ferritin値ともに有意な差は認められなかった(それぞれp=0.170, p=0.665)。【結論】C型慢性肝炎患者においてhepcidin値はferritin値との関連性は保たれていた。一方でコントロール群に対し有意に低値を示しており、低hepcidin状態が鉄過剰に影響を及ぼしている可能性がある。また少数例の検討ではあるが、白人とは異なりH63D変異(hetero)のhepcidinを介した鉄代謝への影響は確認できなかった。
索引用語 C型肝炎, hepcidin