セッション情報 |
シンポジウム14(肝臓学会・消化器病学会合同)
代謝性・遺伝性肝疾患研究の進歩
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タイトル |
肝S14-9:肝臓の糖・脂質代謝における酸性スフィンゴミエリナーゼの役割
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演者 |
大澤 陽介(岐阜大大学院・病態情報解析医学DELIMITER岐阜大大学院・消化器病態学) |
共同演者 |
森脇 久隆(岐阜大大学院・消化器病態学), 清島 満(岐阜大大学院・病態情報解析医学) |
抄録 |
【目的】酸性スフィンゴミエリナーゼ(ASM)はセラミドやスフィンゴシン1リン酸(S1P)を調節することにより種々の細胞機能に関与するが、糖・脂質代謝にも関与するとの報告がみられる。そこで、肝臓の糖・脂質代謝におけるASMの役割について検討を行った。【方法】ASMを過剰発現するアデノウイルスベクターを作製し、糖・脂質代謝とそれに関わる細胞内シグナルに対するASM発現の影響を、マウスおよび初代培養肝細胞を用いて検討した。次に、どのスフィンゴ脂質が影響するかを検討するため、スフィンゴシンキナーゼ(SphK)欠損細胞におけるASM発現の影響を同様に検討した。さらに、ASM欠損マウスにおける糖・脂質代謝について検討した。【成績】野生型およびdb/dbマウスの肝臓にASMを発現させることにより、両者ともGTTにおける耐糖能が改善した。また、野生型マウスの肝臓にリン酸化AKTの増加とリン酸化AMPKの減少を伴ったグリコーゲン・中性脂肪蓄積が認められた。初代培養肝細胞にASMを過剰発現すると、グルコースの取り込み、グリコーゲン量増加、および中性脂肪蓄積が認められた。ASMによるリン酸化AKTの増加はSphK欠損細胞では抑制され、S1Pの投与はリン酸化AKTを増加させたが、APMK脱リン酸化はSphK欠損の影響を受けなかった。一方、ASM欠損マウスでは耐糖能異常が認められた。さらにASM欠損肝細胞ではブドウ糖添加によるグリコーゲン量増加および中性脂肪蓄積が抑制された。【結論】ASMは肝細胞のグルコースの取り込みを増加させ、その結果グリコーゲン量の増加と脂質の蓄積が誘導されると考えられた。この作用は、S1Pの産生を介するAKT活性化とセラミドの増加によるAMPK不活性化を介していることが示唆された。 |
索引用語 |
スフィンゴミエリナーゼ, 肝細胞 |