セッション情報 シンポジウム15(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

肝硬変患者の栄養マネージメント、治療

タイトル 肝S15-2:

肝硬変患者に対するInBodyによる身体計測の有用性について

演者 長田 成彦(東海大・消化器外科)
共同演者 白石 光一(東海大・消化器外科), 峯 徹哉(東海大・消化器外科)
抄録 【目的】我々は肝硬変患者の食道静脈瘤治療前後の栄養評価として、身体計測を行っている。身体計測は比較的煩雑なこと、測定者により測定値の差があること、測定誤差が大きいことが問題である。InBodyはインピーダンスを用いた体成分分析装置で、体重、BMIに加えてAC(iAC),AMC(iAMC)の計測も可能となっている。肝硬変患者においてInBodyが有用かどうか検討した。【方法】平成21年1月から平成23年2月までに東海大学病院に食道静脈瘤治療、肝癌治療のために入院した患者を対象とした。患者の身体計測(身長、体重、BMI,TSF, AC, AMC)とInBodyによる身体計測(i-TSF, i-AC,i-AMC)を行った。これらの値が近似するかどうか検討した。食道静脈瘤治療前と2週間後の身体計測の実測値とInBodyによる測定値の測定を行い、これらの指標を治療前後で対比し、InBodyによる測定値の変化が実測値の変化を反映するかどうか検討した。【成績】対象患者は53名、男性40名、女性13名、平均年齢は67才。Child-Pugh分類ではChild Aが19名、Bが34名であった。肝硬変の原因はアルコール性22名、慢性C型肝炎22名、慢性B型肝炎4名、NASH1名、原因不明4名であった。身長162±9cm, 体重59±11kg、BMI 23±3, TSF 12±4、AMC 23±3、iTSF 17±5、iAMC 22±2であった。実測値とInBody値のピアソンの相関係数を求めると、TSFとiTSFの間(r=0.327, n=53, p=0.0164)、AMCとiAMCの間には有為な相関が認められた(r=0.659, n=53, p=<0.0001)。治療前と治療2週間後を測定し得た21例を前後で比較すると、TSF(p=0.0633), iTSF(p=0.5517)、AMC(p=0.6433)は有意差はなかったが、iAMCは治療前平均値22.0、治療後平均値21.7で大きな差はなかったが治療2週間後、ほとんどの患者が低下を示したため有意に低下した(p=0.0017)。【結論】InBodyによる身体計測は簡便で、有用であり、実測による測定誤差を上回る精度も期待できると考えられた。iTSF, iAMCの測定は、今後、実測による身体計測と替わりうるのではないかと考えられた。
索引用語 InBody, 肝硬変