セッション情報 シンポジウム15(肝臓学会・消化器病学会・消化器外科学会・消化吸収学会合同)

肝硬変患者の栄養マネージメント、治療

タイトル 消S15-4:

食道静脈瘤に対する内視鏡下治療時の栄養療法の意義

演者 坂井 良行(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科))
共同演者 齋藤 正紀(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科)), 西口 修平(兵庫医大・内科(肝・胆・膵科))
抄録 【目的】肝硬変患者に対する栄養療法の有効性は既に確立されているが、食道静脈瘤治療時の食事制限状態における栄養療法の意義に関する報告は少ない。また、BCAA製剤がすでに導入されている食道静脈瘤患者に対しどのような栄養療法を行うべきかについては未だ十分な検討が行われていない。今回予防的内視鏡的食道静脈瘤治療施行患者に各種栄養剤(経腸栄養剤、BCAA顆粒製剤、BCAA高含有経腸栄養剤)の無作為介入による短期的・長期的栄養改善効果を前向きに検討した。【対象、方法】対象は2008年4月から2011年2月に内視鏡的食道静脈瘤治療を施行した68例。1)入院前よりBCAAが導入されていた44例は、BCAA顆粒製剤投与群(A群)、BCAA高含有経腸栄養剤投与群(B群)の2群に分け前向き無作為比較を行った。2)入院前よりBCAA製剤が投与されていない24例は、食事群(C群)、経腸栄養剤群(D群)、BCAA高含有経腸栄養剤群(E群)の3群に分け前向き無作為比較を行った。評価項目は間接熱量計を用いたエネルギー代謝、血清蛋白測定による蛋白代謝、身体計測を中心とした栄養代謝評価を行った。観察開始時をday0とし、内視鏡治療をday0、7、14に行い、各々の治療日に栄養評価を行い、その変動を評価した。A群、B群については退院後のday50にも栄養評価を行った。【結果】対象A群22例、B群22例、C群10例、D群12例、E群12例。1)A群とB群を比較したところ(両群背景に有位差なし)、エネルギー代謝における体重およびBMI、npRQは両群とも治療後低下していたが、2群間比較でA群において有意な低下を認めた(それぞれP=0.022、0.030、0.014)。蛋白代謝は2群間で有意差を認めなかったが、B群において改善する傾向を認めた。2)C群とD群、E群を比較したところ(両群背景に有意差なし)、BTRはE群で優位に上昇していた。エネルギー代謝についてはD群とE群で有意差は認めなかった。【結論】食道静脈瘤治療後のエネルギー代謝および蛋白代謝異常の対策としては、BCAA単独では不十分であり、カロリー摂取とBCAAの併用が有効であった。
索引用語 食道静脈瘤, 栄養