セッション情報 シンポジウム12(消化吸収学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

食欲・消化吸収をめぐる生理活性物質の新展開

タイトル 消S12-7:

視床下核深部脳刺激(STN-DBS)による体重の長期的変動とその機序の解明

演者 新井 英二(千葉大・消化器内科)
共同演者 新井 誠人(千葉大・消化器内科), 横須賀 收(千葉大・消化器内科)
抄録 【背景】これまで我々は、パーキンソン病患者に対する視床下核深部脳刺激法(STN-DBS)によって、術後3ヶ月の時点で、低体重の改善と胃排泄能の改善がみられることを明らかにした(Arai E, Brain 2012 in press)。しかし、その機序および長期的な効果については十分な検討はなされていない。【目的】パーキンソン病患者におけるSTN-DBS施行前後での体重と胃排泄能のの長期的変化およびその機序解明を目的とする。【方法】STN-DBS施行1年後における体重変化と、STN-DBS刺激下、非刺激下での早朝空腹時血中グレリン値、レプチン値、13C酢酸呼気試験法にて測定した胃排泄能(Tmax)との関連性について、STN-DBS施行前との比較により検討した。【結果】当院にてSTN-DBSを施行された20例(男性9例、女性11例)のうち1年目の評価が終了した症例は11例。平均年齢は64.6 ± 7.0歳。STN-DBS施行後の体重は有意に増加していた(施行前49.2±10.8kg、施行1年後55.9±10.7kg、p<0.05)。また空腹時血中グレリン値は、STN-DBS施行前非内服下、内服下、STN-DBS施行1年後非刺激下および刺激下で、それぞれ有意差を認めなかった。STN-DBS施行1年後、刺激下胃排泄能は、施行前非内服下と比較し有意差を認めなかったが、施行1年後非刺激下と比較し有意な改善を認めた(p<0.05)。しかし血中グレリン値及び胃排泄能と体重の間には有意な相関を認めなかった。【結論】STN-DBS開始1年後において、体重増加例を多くみとめた。しかし、血中グレリン値は体重変化と有意な相関を認めなかった。またSTN-DBS開始1年後で、刺激下胃排泄能は非刺激下に比較し有意な改善を維持していた。STN-DBSによる体重増加は、グレリン値とは関連性を認めなかったが、胃排泄能との関連性を認めた。
索引用語 体重変化, グレリン