セッション情報 |
シンポジウム16(消化吸収学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
肝・胆道疾患と脂質代謝を見直す-消化吸収異常の関与とその治療-
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タイトル |
吸S16-7:脂肪肝における酢酸代謝の変化とアルコール摂取の影響
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演者 |
瓜田 純久(東邦大・総合診療・急病科) |
共同演者 |
渡邉 利泰(東邦大・総合診療・急病科), 今井 常彦(東邦大・衛生学) |
抄録 |
【目的】腸管に多く存在する短鎖脂肪酸で活性化されるG蛋白質共役型受容体が発見され,短鎖脂肪酸も栄養代謝に関与していることが明らかとなってきた.一方,大酒家ではNADHの過剰産生によってTCA回路,糖新生ともに障害され,脂肪酸が動員されてβ酸化が亢進する傾向を示す.インスリン抵抗性を有することが多い脂肪肝では,大量の脂肪酸が肝へ流入する.脂肪肝形成において両者の関連を検討するため,アルコール性脂肪肝(AFLD)と非アルコール性脂肪肝(NAFLD)においては酢酸代謝およびエタノール代謝を検討した.【方法】HCV(-)、HBV(-)を確認し,画像診断で脂肪肝と診断された19例中,エタノール換算60g/日以上の常習飲酒家9例(男女比8:1,28-78才)をAFLD群,機会飲酒の10例(男女比4:6,29-81才)をNAFLD群とした.全例 13C-ethanol呼気試験および13C-acetate呼気試験を施行し,呼気排出パターンを比較した.さらに生後4週齢時から16%ethanolを飼料として摂取させて1年経過したFischer系雌性ラットを用いて,同様に呼気試験を施行した.【成績】13C-ethanol呼気試験ではAFLD群とNAFLD群ではエタノール吸収速度に差はなかったが,代謝・排出はAFLD群で有意に亢進していた。13C-acetate呼気試験では13CO2排出曲線の立ち上がりは同等でありCmax(14.8vs14.1)も有意差はみられなかった.ラットではエタノールの短期投与は酢酸代謝を低下させ、長期投与は亢進させ,エタノール代謝も亢進する傾向を示した.【結論】脂肪肝を呈するヒトでは,酢酸代謝は低下したが,アルコール有無で差はなく,エタノールの代謝は亢進する傾向がみられた.脂肪肝を呈さないラットでの長期飲酒は,酢酸代謝が低下しておらず,脂肪肝における酢酸代謝の低下はアルコールより,インスリン抵抗性の関与が大きいと思われた. |
索引用語 |
脂肪肝, 酢酸代謝 |